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ヌクモリティその9
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「さ〜て、高畑はどれが一番嬉しかった?」
晴也の言葉に高畑は二度三度視線をさ迷わせる。
「あー……えーっと三本のは、俺の趣味考えてくれて、チェロ習ってやこととかも、ありがと……」
「おうっ!!」
「店長の、助かるっす。太郎たちに普段から質素なモンしかやれてないんで、たまの贅沢がさせてやれます。ありがとうございます」
「へっ定期的にやりたくなるだろ」
「佐藤は」
高畑と目が合う。だんだん眉間にしわが寄っていく。
「ありがとな」
「えっそれだけ!?」
思わず声が出てしまった。
だって、二人とも色々言ってもらってるのに俺だけありがとうって、ちょっと悲しいじゃん!!
ポンと肩を叩かれる。振り向けば晴也。
「祐馬はわがままだなぁ……」
「自分が色々言ってもらったからって偉そうにすんな」
「ま、満はどれが一番嬉しかったんだ?」
きっと俺ではないだろうなぁ……
そう思いつつ高畑を見る。1ミリの可能性にもかけたくなるんだよ!!
高畑は誰のほうも見ずフローリングだけを見つめている。
三人の視線が集まる。高畑は小さく口を開いた。
「俺は、俺はどれも嬉しかったから……選べない、ありがとう」
少し顔を赤くして高畑はそう言った。
キュン、てした。いやだって、これは反則だろ。
「可愛い」
気づいたらまた言葉が溢れていて、やばいと思っただって二人もいるし。
「高畑……かわいい!!」
「満!! いい子だな!!」
どうやら二人も同じことを考えていたようでちょっとホットする、ようなちょっと嫌なような。
高畑は俺たちの言葉に真っ赤になってしまってさらに2人がキャーキャー騒ぎ出す。
そのうち2人が高畑に抱きついて頭を撫でたりもみくちゃにしだす。
俺はなんだかそこには入れなくて、ぼーっと見ていた。チクチク胸を刺されるような。なにこれ。
そのとき晴也の頭の隙間から高畑の顔が見えて目が合った。
頬を朱色に染めた高畑が微かに笑った。
綺麗、だった。いつもの笑顔よりも。少し下がった目尻に朱がさしていた。
ちょっと、や――ばいかもしれない。
顔を抑えてしゃがみこむ。頬が熱い。おかしい、だってこんな風に思ってばかりだなんて。
男同士で、こんなガタイも良くて目つきも悪い奴を可愛いとか俺どうなってんだろう……
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