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名前くらい
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しばらく沈黙していて、俺は弁解すべく口を開こうとした…
「あ、あの…」
「おい」
俺が話し始めようとしたら、相手も口を開いて俺の言葉を遮った
「は、はい…何でしょうか」
「お前…今まで何処に行ってたんだ!?ずっと探してたんだぞ…もう見つからないかと思っていた所だ…」
いきなり手を掴まれて泣きそうな声で言われた
だけど…
「何の事です?俺の事を知っているんですか…?」
そう言うと、彼は驚いた顔をしていた
「覚えて…ないのか…?俺たちの事も思い出も、何もかも…?」
本当に何の事だろうか…
「本当に何の事です?目が覚めたら森の中にいて、歩いていたら此処を見つけただけです…此処に来る前の記憶なんて一切無いですし、貴方の事は何も知らないので、思い出も何も…覚えているのはせいぜい名前くらいです」
俺がそう告げると彼は物凄く悲しい顔をしていた
今にも泣いてしまいそうな、そんな顔を…
俺たちは男同士なのに特別な繋がりを持った関係なのだろうか…
少しだけ変な話しだとは思ったけれど、不思議と嫌という気持ちは無かった
「そうか…ならせめて名前だけでも教えてくれないか…?」
「え、ええ。構いませんが…俺の名前は…夕凪 遙華と言います。」
「…っ!やっぱり…」
この人は俺の何を知っているのだろうか…とりあえず、この人の名前も聞かなくては
遙華「あの、貴方のお名前は…?」
「ん?あぁ、言ってなかったな。俺は神凪 咲馬だ」
神凪 咲馬……何処かで聞いた事のある名前だ…なのに思い出せない
胸のあたりで引っかかったまま出てこない
「……でも…ず……に……く。……に。や……く…。だか………ないで……。また……で………おう。」
頭の中で声が響いた
思い出せない…何か大事なことを忘れている
本当に大切な事を
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