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2人で珈琲を
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「……んっ、部屋、行こ、ここ、やだ」
食いつくように求められる口づけの隙間をぬって言葉を這わせるが、
貴仁はそれに「うん」と答えたまま、更に激しく舌を暴れさせていく。
吸い付き、絡ませ、歯の裏をなぞる
「……っ…!……あ、も、言うこと聞けってば……」
貴仁の唇が離された事で、少しの唾液を残すその口が大きく息を吸い込むと要望をきくつもりの無さそうな男を、少し火照った顔で見つめた。
見つめられた貴仁は、今しがた吸い取った龍希の唾液を自分の口元から逃しそうになり、じゅるりと吸い直し、
「……好きだよ、龍。」
呟くと、自分は今、この男を抱いているのだなぁと、龍希の顔を下に見ながらそんな物思いにふける
あの頃の自分は何故、この関係になる事をあり得ないと拒否していたのだろう?
龍希を抱く度に貴仁はそれを思う。
あの頃も変わらずこいつを愛していたはずなのに。
きっと、愛の方向を間違えて見ていたのだ。
性別や、マジョリティと言う安心感に惑わされて、この幸せを自分で蹴散らす所だったな、と今の結果に安堵する。
「……貴仁さん?」
まだ少し荒く息をする龍希が、まるで熱に浮かされ潤んだような瞳を真っ直ぐに向けるので、
貴仁は離した唇が再び彼を欲するそのままに、その潤んだ瞳の上へと優しくキスをする。
それは睫毛へ移り、頬で湿り気のある籠った音をたて、
そこを離れると、今度はそのまま耳たぶへと落とされる
びくり、龍希は大きく肩を震わした
唇を割って出た彼の舌が自分の耳の中を掻き回すのだから、思わずその肩をすぼめたのだ
ぐちゅぐちゅと、ダイレクトに耳から聴こえる音が、脳を侵食し、
今のこの場所などもう、どうでも良くさせていく。
今は、この身体が欲しくて欲しくてたまらない。
「……んっ、」
耳へ吸い付く唇は止めずに、貴仁の手は龍希のシャツに潜り込む。
吸い付くように肌を這わせ、
手が這う順番に龍希の身体の温度を変えていく
それは、まるで魔法のように、触れた所が熱を帯びる。
暖かくて、優しくて、人の温度という魔法。
必要な箇所で、たまに動かされる指先が、愛してるよ、と囁いた。
さっきまで耳をなぞっていた貴仁の舌は
強めに龍希の首筋を辿ると、鎖骨に柔く噛みつき、
龍希のシャツを脱がすと、
そのまま胸へと幾度もキスを投下する。
吸い付くその音が、「空から落ちた星の弾ける音にさえ聴こえるや。」
などと思うと龍希は、
幸せってなんて変な考えを持ってくるのだろう、と小さく笑いながら、その音に酔わされる
そして、貴仁の持つ優しさとは反して、少し乱暴に動くその唇は、龍希の胸の突起にかぶりつく
「……ふ…っ………」
それに合わせて漏らすまいと努力した声が漏れる
「……ん、ぁ……」
幸福が見せるものは、
キラキラ輝く星のようで、
同時に湿度高く、汗にまみれる身体は決して美しいかなんて解らないが、それもやはり幸福の持つ1面で。
きっと、輝く美しい感情と燻る汚ない感情の繰り返しで作られるのが幸福なのかもしれないと、
もう使い古されたようなその言い回しを、初めて知る言葉の羅列のように感じる。
毎日が、初めてで出来ている。
龍希は、貴仁が毎日新たに強くなると感じたし
貴仁も、龍希が毎日新たに強くなると感じている
これまでは、身体を重ね愛し合う行為をそんなにも必要に感じては来なかった。
けれど、今は違う。
この行為が有るから見える貴仁の愛が有る。
龍希はそう感じていたし
貴仁もまた、この行為だけがくれる感情が有るのだなと感じた。
同性のパートナーには、その行為が殆ど無い二人もいれば、本当のパートナーがくれるのは精神の愛だけという人もいる。それは色々だ。
けれど、やはり触れて、温度を与え、与えられて見えてくる互いも有るのは真実だ。
そこに生まれる愛は間違いなく血を持ち息をしている。
貴仁が再びその手を動かすと、それは肌を這いなが腹部を触り、腰を撫でて
それに合わせるかのように、幾度も龍希の下半身がぶるりと震えてそれを求める
求める愛は、滲み出るものでその湿度を増し、至極丁寧に最愛のパートナーである男の手に握らて、持つべき熱を高めていく。
「…………っ、」
ヒクリと動いただけで、声を出さない龍希の口元は幸福に震えた
魔法の手が与えてくれる温度が、囁く愛を幾度ももたらして、
愛する男の肩越しに見るは、やはり、愛するこの家の庭で、
そこを通り、風が今、2人の髪をさらりと撫でた
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