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誤解と喧騒 1
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雪弥さんに会えるのは、俺が誘いのメールを入れて3日後になった。
お互い仕事は詰まっているものの、時間は取らせないからと、無理に予定を捩じ込んで貰った。
雪弥さんから、当日仕事が終わり次第連絡入れると返事を貰った時は、ついガッツポーズをしてしまった。
早く会いたい。
顔が見たい、声が聞きたい。
…触れたい。
それは叶わないか。
会えるまでの3日間はなんて長い時間だろうと思ったけれど、暇さえあれば雪弥さんのことばかり考えて居たから、過ぎてみればあっという間だった。
俺は雪弥さんからの連絡を待ちながら、駅の近くにある喫茶店で時間を潰す。
待ち合わせの1時間前からこの場所で待機している。
コーヒーとケーキのセットと、今度受ける予定の舞台オーディションの原作本が今日の俺の暇つぶし道具だ。
そわそわした気持ちを落ち着ける為にも、本は役に立つ。
30分ほどでフードを食べきると、店員からコーヒーのおかわりの希望を問われ、そこで初めてケーキセットはコーヒーおかわり自由の文字に気付いた。
雪弥さんからは待ち合わせ五分前に「ごめん、今終わった。少し遅れる」と短いメールが来た。
それくらいは予想の範囲内。
元々無理を言ってしまったのは自分だから。
俺たちの仕事は、残業代は出ない。
けど、その分時間には厳しい。
人気があればあるだけ、仕事と仕事の間が無くなるから、仕事は割と定刻通り終わる傾向にある。
だからこそ、万が一仕事が押すとしても、そんなに長く無い事が多い。
反対に舞台稽古やドラマ撮影となると、丸1日スケジュールを押さえられるので、終わりの時間など、ほぼ存在しない。
俺は、今いる喫茶店の場所と店名をメールに記して「ゆっくりで構いませんよ」と返事をした。
ようやく会える。
多分、今日の雪弥さんの仕事場から、ここは15分くらいだろうか。
着替えもあるだろうから、30分くらいで到着するかな。
俺はワクワクしながら雪弥さんの到着を待った。
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