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雪弥の想い 1
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雪弥さんは、すぐ近くにあったコンビニの駐車場に車を停めると、エンジンだけを切って、空調とラジオはそのままにした。
「ちょっと待ってて」と一言残して、店に入りペットボトルのお茶を買ってきてくれる。
「あ、ありがとうございます!」
雪弥さんは、この駐車場で話を始める気らしい。
まぁこんな辺鄙な所じゃ深夜遅くに開いてる店なんてコンビニくらいだ。
ファミレスですらあと30分ほどで閉まってしまう。
郊外故に駐車場は余るほど広く作られていて、長居するには、うってつけの場所だ。
先程までより、コンビニの明かりが漏れて車内は少しだけ明るくなる。
雪弥さんの姿や表情が分かるくらいには。
俺はシートベルトを外して雪弥さんの方に少しだけ身体を向けた。
雪弥さんは、俺の顔を見ると困ったように一瞬笑ってから
すぐにきりっと真面目な表情に切り替える。
それだけで胸の鼓動が早くなるのが分かった。
「えっと、真都くん。僕は君にいくつか謝らなきゃいけないんだ、ただ、さっきから色々考えてるんだけど、上手く話せる自信が無くて…でも聞いてくれると嬉しい。長くなると思うけど」
「わ、分かりました…」
雪弥さんは俺の返事を聞くと、ふぅと一息ついてラジオを消した。
雨音がより一層車内に響いてくる。
「まずは、この前の喫茶店で、あんな酷い態度取ってごめん。本当にあれは申し訳なかったと思ってる。一方的に僕が感情的になって…大人げなかった…」
突然の謝罪に俺は言葉につまる。
雪弥さんは、俺の方を見てもう1度「ごめんね」と謝る。
気にしないで下さい、元気出して下さい、俺も悪い所があったから…。
沢山の言葉が浮かんでは声にならずに消えていく。
どういう言葉を選んでも適切じゃない気がして、どうしても答えられなかった。
「それから、実は真都くんから来てたメールなんだけど。ずっと怖くて開けなくて、見たのがさっきなんだ。ずっと返信してなくてごめんね」
「え、あ、はい…」
そっか。見てなかったのか。
いつまで経っても返事が来ないわけだ。
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