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居酒屋で 3
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ひとしきり舞台に関する話を終えると既にラストオーダーの時間を迎えていた。
随分話し込んじゃったな。
盛り上がれたことはいいことだけど。
あと20分ほどで店を出なければいけないなんて。
名残惜しいな。
「そういえば、真都くん」
台本に打ち合わせた内容を書き込んでいた雪弥さんが、不意に顔をあげる。
「なんですか?」
「一緒に写メ、撮ろっか」
「へ?いいですけど」
「あ、ブログに載せてもいい?」
そう言われて、俺は雪弥さんが日々更新しているブログを思い出す。
雪弥さんは、ファンサービスもしっかりしていて、余程のことがない限り、基本的に毎日更新しているのだ。
そのブログ内容が、普段どおりのおっとりとした人間性の伝わる文面で、ブログから興味を持って舞台に来るファンもいるらしい。
「構わないですよ、事務所もそういうことは文句言わないんで。むしろ、載せて貰えたら宣伝になって褒められるかも」
そう応じると、雪弥さんはにっこりと微笑んで、携帯を取り出した。
細長い指が慣れた様子で画面をタップして、カメラをインカメラの設定にする。
「よし、じゃあ行くよ、あ、カメラここね」
そう言われると、さっきの打ち合わせの時よりずっと近くまで距離を詰められる。
どうしよう、にやけてしまいそうだ。
あ、いいのか、別に。
笑顔は問題ないか。
ピッと音がしてレンズが2人を捕らえた。
カメラフレームに納まった二人は驚くほど楽しそうな顔をしていた。
「ん、2人ともいい感じだね。助かるよ、毎日更新を心がけてはいるけど、ネタが無い日は困っちゃうからさ」
「凄いですよね、俺は告知と併せての週一更新が精一杯ですよ」
「ファンの人の反応がいいから頑張れるんだ。コメントも読むの楽しくて。でも喜んでは貰えるけど一人で自撮りって結構恥ずかしいから、誰かと一緒はいいね」
「さっきの写メのデータ俺にも下さいよ、俺も今日はこの写真でブログ更新します」
「いいよ、メールに添付するね、好きに使って」
雪弥さんは快く応じてくれた。
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