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話の後に 1
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「すいません、俺が誘ったのに奢って貰っちゃって」
「いいのいいの。かわいい後輩からのお誘いだもん。またご飯行こうね」
手をひらひらさせる仕草は男性なのにどこか可愛らしく思えた。
傘を手に店を出ると、相変わらずの土砂降り。
少し意識して声を張らないと雨音が邪魔をして、相手には聞こえそうもない。
「まだ降ってるね」
しかし、雪弥さんの声は大声でもないのに、透き通って雨の音を避けるように、俺の耳に届いた。
「明日まで降るんでしょうか」
そんな会話をしながら、駅へと足を進めていく。
「真都くんは電車どっち方面?」
「西ノ浦の方ですよ。結構距離があって、この時間だと、最寄り路線の終電終わってるんですよ。なので、近くまで行ったらタクシーですけど」
「そうなの?うちここから3駅くらいだから泊まってく?」
「えっ」
思わぬ誘いの言葉に俺は驚いてしまう。
「何のおもてなしも出来ないけど、僕明日オフだから時間気にしなくて大丈夫だし、良かったらどうかなって」
それは、俺にとっては、誘惑以外の何物でもなかった。
タクシー代は浮くし、もっと雪弥さんと喋れるチャンスだと思った。
「…いいんですか?」
「うん、僕がなんかもう少し話したいなって思ったから」
相変わらずの優しい口調で発せられた言葉に気分は高揚するばかりだった。
一昨日、勇気を出して誘った自分を全力で褒めてあげたい。
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