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話の後に 2
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夢でも見てるのだろうか。
しかし、この満員電車の息苦しさは、今の状況が夢ではないことを意味していた。
「雪弥さん、いつもこんなの乗ってるんですか?」
「雨だからいつもよりずっと多いよ、普段はここまで酷くないんだけど…まぁ3駅分だけだから、耐えるしかないね」
さっきまでの居酒屋より、ずっと身体は近い位置にあるというのに、他の客との密着具合の高さに有り難みも薄れてしまう。
おまけに、後ろの人の傘当たってるし。
もう、これ洋服びちゃびちゃなんだろうなぁ…。
想像するだけで気が滅入る。
本日、何度目かの雨を恨みながらすし詰めの車内の中でなんとか呼吸をする。
雪弥さんは慣れているのか、平然とした表情で吊革に捕まることもなく立っている。
まぁ、吊革などに捕まらなくても、ここまですし詰め状態だと。一歩も身動き取れないけれど。
その立ち姿すら絵になって見えるんだから、羨ましいことこの上ない。
そんな雪弥さんを見上げてふと気付く。
「雪弥さんて割と背高いですよね?」
「ん?180くらいだよ」
「充分ですよ」
そうか、それで呼吸するのが楽なのか、周りから頭1つ抜けてるもんな。
至って平均から抜け出せない身長の俺は苦労するわけだ。
女の人はもっと大変なのかな。
いや、意外と下の方がスペースあったりするのだろうか。
そんな事を考えていると、ドアが開き更に人が乗車してきて、これ以上、人が入るものなのかと驚かされる。
3駅なんてほんの数分なのにやたら長く感じるなぁ。
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