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部屋の中で 1
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「割と生活感、ないんですね、雪弥さん片付け上手?」
広めのLDKには、大きめのテレビとソファ。ソファの横に小さめのサイドテーブルがあるだけだ。
「違う違う。実はここ引っ越したばかりなんだ。この前まで実家に住んでたから。オフの度に少しづつ家具や家電揃えてるんだけど、優柔不断でさ、なかなか決まらなくて…」
「なるほど。確かに色々種類あって悩みますね」
「そうなんだよー。だから荷物も殆ど実家に置きっぱなし」
雪弥さんは上着を脱いで、ハンガーにかけると、俺にも上着を脱ぐように言う。
「しわになる前にかけとくよ」
「ありがとうございます」
「他の服は洗濯しちゃえばいいよね、すぐお風呂の準備するから」
自分の家なのだから当然と言えば当然なのだけど、おっとりとした性格とは違いテキパキと動く雪弥さんに俺は少し驚いた。
「飲み物どーする?アルコールはビールしかないんだけど」
「あ、これ以上飲むと明日に響きそうなんで、水でいいです」
「そ?じゃあ僕もそうしよ」
雪弥さんは上着を取り上げる代わりに、俺の手に冷えたペットボトルを置くと、ソファに座るよう言ってから、ランドリーの方へ向かって行った。
…緊張、するなぁ。
初めて来る家だし。
初対面じゃないとはいえ、ずっと憧れだった役者さんの家だもんなー。
本当なら、この事態にもっと感動するかと思っていたけれど。
頭の整理が全くついてないせいか、ただひたすらに落ち着かなくて妙にそわそわしてしまう。
一応、濡れた部分があまり触らないように、浅くソファに腰掛けてみる。
あんまり使ってないって言ってたけど、ソファからはわずかに雪弥さんの香りがした。
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