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舞台の裏で 4
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リハーサルは順調だった。
監督にも太鼓判を押されて、この調子のまま本番行こう!と声をかけて貰えた。
手を繋がれたことで、舞台への妙な緊張感は消えていたからかもしれない。
雪弥さんこういう効果を狙っていたのかな。
舞台本番でも、リハーサルのテンションをそのまま持ち込めた。
稽古の時に教わったことを全て活かせていると思えた。
台詞の言い回しや、立ち回りまで本当に全てがスムーズだった。
勿論、それは雪弥さんも同じだった。
出番が終わり、舞台袖に引っ込んだ瞬間、雪弥さんの長い腕が、俺の腕を掴んだかと思うと、ぐいっと引き込まれた。
「え、うわ…!」
雪弥さんの腕の中におさめられてしまった。
どうしよう、と考えるうちに、雪弥さんが口を開く。
「さいっこー!すっごい良かったー!真都くん、本当良かった、真都くんと組めて本当良かったよ!」
いつもの、おっとりしたテンションよりは、前に家具屋で見た時に近い、いやそれ以上に雪弥さんのテンションは高かった。
興奮した口ぶりで言われて、俺の中にも、ようやく舞台がうまく行ったと、実感が湧いてきた。
「はい!俺も雪弥さんと共演出来て、こんないい舞台に出来て…嬉しい、です…!」
思わず感極まって、視界がにじむ。
雪弥さんはそんな俺を見て笑った。
「駄目だよ、今泣いたら、カーテンコールの時にお客さんに心配されちゃうよ」
「雪弥さんが泣かせたのに、そういう事言わないで下さいよ…」
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