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千秋楽には 3
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舞台袖に移動をして出番を待つ。
周りの人が、張り詰めた空気の中、忙しなく動き回る。
その中で俺はじっと椅子に座って、役に入り込む為に集中していた。
千秋楽。
そうだ、今日で終わりなんだ。
このスタッフさんや、キャストとまた集合することもない。
雪弥さんとこうやって毎日会えるのも。
稽古や舞台で目が逢う度に雪弥さんにドキドキするのも。
この優しく響く声が側で聞けるのも。
優しそうな微笑みが見れるのも。
これが最後なんだ…。
そう思うと、少しだけ胸の奥がきゅっとなる。
会えなくなったら、この雪弥さんへの気持ちが、本当の好きかどうか決着を付けなきゃいけない。
少し怖くもあるけど、また前に進む為にも必要なことなんだと思う。
そういう思いも全部ぶつけて、舞台に臨もうと思った。
自分の中にあるものを全部。
出し切れる分だけ。
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