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打ち上げへ 1
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「真都くん、まだいるー?入るよー?」
雪弥さんの声だ。
楽屋のドアのノック音からすぐにドアが開かれる。
「居たー。打ち上げ一緒に行こうよ…って何で泣いてるの!?どうしたの?どっか怪我でもした?」
ポロポロと涙を零している俺を見た雪弥さんは、慌てて駆け寄って来てくれた。
「や、何でもないです…」
「何でもないわけ無いでしょ?そんなに泣いて…目も少し腫れてるし…」
「本当、大した事ないんです、舞台終わったら、ちょっと緊張が溶けたっていうか…気が緩んだっていうのか、なんだか今日でみんなと過ごすの最後なんだなぁって思ったら…その、寂しく、なっちゃって…っ」
改めて言葉にすると、また涙が出てくる。
雪弥さんは「そっか…確かに、寂しくなるね」と小さく呟いて、子供をあやすみたいに、頭を撫でてくれた。
「すいません、みっともないとこ見せちゃって…」
「そんなことないよ」
俺はもう一度ぐいっと涙を拭いて、笑顔を作ってみせる。
「大丈夫…大丈夫ですから」
「無理、しなくていいんだよ?」
雪弥さんは俺に覆い被さるようにして、俺の背中に腕を回して抱き締めてくれる。
「見られたくないなら、見ないから、ね?」
俺の肩の上に、雪弥さんは頭を軽く乗せてくる。
耳元の優しい声が、とても有り難かった。
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