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矛盾する時 3
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俺は受け取った荷物を写真におさめる。
今夜のブログのネタにしよう。
前に取材された、雑誌の告知もしなきゃいけないし、ちょうどいいタイミングだ。
俺は事務所に挨拶をして、荷物を持って出る。
雪弥さんとまた仕事が出来る。
また笑顔が見れる。
また声が聞ける。
名前を呼んで貰える。
それは嬉しい。
心からそう思う。
本当に、犬のように、ただ尻尾を振って懐いているだけで幸せなら楽なのに。
心の中に別の感情を抱え込んだ時点で、それはただの打算的なものになってしまう。
素直に嬉しいと思うと同時に生まれてしまう。
心のどこかで、消えなくなっていた思い。
もっと側であの柔らかい笑顔が見たい。
もっと名前を呼ばれて、甘やかされたい。
隣をいつも独占していたい。
触りたい。
触っても許される人間になりたい。
雪弥さんの特別になりたい。
こんな欲まみれの感情、会わなければ薄れていくと思っている。
それももう勘違いなのかな。
会わなくても、声を聞かなくても。
一度、引力に負けてしまったら、惹かれっぱなしなのかもしれない。
抗えない。
雪弥さんの引力にも、自分の気持ちにも。
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