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月を跨いで 1
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慌しく仕事をしているうちに、ひと月が経った。
声優業も順調で、最初こそ躓いた皆橋さんも、しっかり役を掴み、いつの間にか周囲に溶け込み、無くてはならない存在になった。
ともさんに言われたドラマの役も、事務所内のものだったとはいえ、無事オーディションに受かり、出演出来ることになった。
1話限りの出演でも、全国ネットの番組に自分が出られるというのは、物凄いチャンスだ。
チャンス掴めよ
そう言ってくれたともさんに顔向け出来るようにしっかりやらないと。
ドラマ自体は、まだクランクインもしていない状態で、ようやく主演の人達が顔合わせをするかどうか…といったところ。
俺が出るまでには時間はあるけれど、ドラマは声優とも舞台ともまた違う。
もう一度、勉強しなおさないと。
雪弥さんとは、あれから何度かメールのやり取りをしただけで顔は合わせていない。
何度か飲みに行く誘いもあったけど、俺の仕事の都合で断ってしまった。
そのうち、雪弥さんが新しい舞台の稽古に入ってしまってそれっきりだ。
顔を合わせないことは寂しいけれど、代わりに手に入る穏やかな日常も悪くはないと思っていた。
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