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月を跨いで 4
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「もしもし…?」
『あ、真都くん?今、大丈夫だった?』
耳障りのいい声が電話口から響く。
久しぶりの雪弥さんの声だ。
「はい、大丈夫ですよ。どうかしました?」
『メールすぐ返事来て嬉しかったから、つい…声聞きたくなっちゃって』
俺の方が、ずっとずっと聞きたかった。
そんな言葉を飲み込む。
「雪弥さんて、意外と行動派ですよね」
『うん、そうかも。僕、我慢とかはあんまりしない方かもしれない』
雪弥さんは、笑い声を交えて『でも、ちゃんと我慢する時もあるよ?』と言葉を添える。
「俺はどうなんだろう、我慢…出来てるかなぁ」
『しなくていいよ。
真都くんいい子だから、真都くんが我侭言っても、周りを巻き込んでも、絶対みんな受け入れてくれるよ。
思ってることは我慢するより、言った方がいいよ。
僕だって真都くんに我慢されるとか、寂しいって思うから、何でも言って欲しいよ』
優しい。
優しい雪弥さんの声。
「…雪弥さんのことが好きって言っても?」
『真都くん?』
…あ。
やってしまった。
思わず口を抑える。
つい、雪弥さんの優しい声に釣られて。
気を引き締めるのを忘れて。
簡単に気持ちを溢れさせてしまった。
どうしよう。
俺は、なんてことしちゃったんだろう。
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