アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
二人の時間 3
-
俺はパラパラとメニューをめくりながら、カクテルを選ぶ。
「あ、見てください雪弥さん、ノンアルコールカクテルもありますよ?種類も割とあるし」
見付けたページを指さして示すと、雪弥さんは苦笑いする。
「確かに種類は多いけど、ノンアルコールカクテルって女の子みたいじゃない?」
「そうですか?別に俺しか居ないんだし、気にすることないと思いますけど」
雪弥さんは少し悩んでから「それもそっか」と呟くように言ってメニューを眺め出す。
ファーストドリンクを頼むのに、こんなに時間がかかることもあんまりないけど。
この店の落ち着いた雰囲気は、ゆっくり腰をすえてメニューを選びたくなるなぁ。
「俺、カルーアラテにしよ」
あえて女子みたいな、甘くて度数も低いカクテルを選ぶ。
「じゃあ僕はプッシーキャットかな」
雪弥さんも決まった所で、店員さんを呼び、お酒を頼み、それに合いそうなオススメフードをいくつか頼んでみる。
勿論、雪弥さんがオススメの刺し盛りも忘れない。
店内は落ち着いた雰囲気だけど、それなりに賑わっている。
けれど、絶妙な音量のBGMが、他のテーブルとの会話を遮っていて、何を話しているのかまでは分からない。
ドリンクがまず運ばれて来て、軽く乾杯をする。
「雪弥さん、舞台お疲れ様です」
「ありがと」
雪弥さんが柔らかく笑う。
やっぱりこの笑顔好きだなぁ。
「そういえば、真都くん。来週のデートなんだけど、遠出でもいい?」
「遠出ですか?」
「何か仕事混じりで嫌かもしれないんだけど、大阪の舞台のチケットが当たって、良かったら一緒に行かない?と思って」
そう言いながら、雪弥さんが鞄から取り出したのは、大人気の舞台公演のチケットだった。
「え?これ当たったんですか?」
「うん、東京は取れなかったんだけど、運良く大阪が取れたから…」
「行きます、行きたいです!これ関係者でもよっぽどの人じゃないと取れないって聞いてたんで諦めてました」
俺は身を乗り出して、話に食いついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
138 / 217