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二人の時間 4
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「ちなみに、真都くんの前日の予定ってどうなってる?」
雪弥さんはドリンクがうまく混ざっていないのか、沈殿してしまうのか、マドラーでかき混ぜ、カラカラと音を立てる。
「…前日ですか?」
「この公演、昼からのやつだから、ちょっと早めか、可能なら前日入りしておきたいなぁって思って」
「確認しますね」
俺は予定を記してある手帳を開く。
何となく、こういう場で携帯を触るのはマナー違反な気がしたから。
「その手帳…」
「はい?」
「前に彼女が拾ってくれたって言ってたやつだ」
「あぁ、皆橋さん。良く覚えてますね」
「うん…」
「あ、前日なんですけど、仕事は朝イチからなので、多分終わり早いと思います。多分昼過ぎには…雪弥さん?」
手帳から視線を外して顔をあげると、ぼうっとしている雪弥さんが視界に入った。
どうしたんだろう?
ノンアルコールだから、酔ったってわけじゃないだろうし。
目の前で数度手を振ってみせると、雪弥さんは、ふっと目に光を取り戻す。
「あ、ごめん…ぼーっとしてた」
疲れてるのかな?
「大丈夫ですか?やっぱり舞台後は疲れますよね。一応、昼過ぎには仕事終われると思いますよ」
「じゃあ、僕その日迎えに行くよ。実家から車取ってくる」
雪弥さんは、いつもどおりの笑顔を取り戻してそう言う。
大丈夫かな?
舞台での演技力を見せ付けられた後だと、無理をさせてしまっているのかも?と騙されてるような不安がある。
「雪弥さん運転するんですね」
「実家にいる時はいつもしてるよ。さすがに今の家では、必要ない気がして持って来なかったけど」
「確かに駅前だから、電車の方が便利そうですね」
俺の言葉に頷いて、雪弥さんは笑う。
無理でも、演技でも、この笑顔が見られるならいいか。と思える程、やっぱり雪弥さんの笑顔は俺にとって魅力的なものだ。
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