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高鳴る鼓動【ちなは】*03
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動揺を隠し、冷蔵庫から取り出した冷水を会長サマに手渡そうとした瞬間、指先が触れて慌てて手を離す。
目の前でコップが宙を舞い、音を立てて床に落ちた。
「ご、ごめん。」
慌ててタオルで水浸しの床を拭く。
水を入れ直そうとして焦げた匂いと煙でライスコロッケを思い出し、焦って引き上げると、その勢いで油が手に飛び跳ねた。
「熱っ…」
火傷した事に気付いた会長サマが、赤くなった僕の手を取って素早く水道水で冷やす。
後ろから抱き締められるような形で、体を包み込まれ、冷やしているだけなのに胸が高鳴った。
恥ずかしい…
会長サマの温もりが。
心音が伝わって、落ち着かない。
「あなたは、不思議な方ですね。」
「…えっ?」
耳元でぽつりと囁かれ、小さく会長サマを振り返る。
「キスやセックスは平気そうなのに、今は借りてきた猫のように大人しい。」
くすくすと笑う会長サマに、返す言葉が見付からない。
「落ち着きませんか?こうやって、人に世話を焼かれるのは。」
「…困る。どうしていいのか分からない。」
大人たちは、僕を道具としてしか見ていなかったから…
動揺を隠し切れずに俯く。
「使い捨てだから、僕…」
…バカだ。
「…離して。」
こんな事を言って、どうする…
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