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小さな一歩【ちなは】*08
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会長サマが動いて僕が使えないと判断したら、その矛先がきいやちゃんに向かないか更に不安が募っていく。
「私は、あんたの方が心配よ。これ以上、あいつらの食い物にはさせない。弟は黙って姉に従い、姉は全力で弟を守るものなの。だから、私から離れないで。」
初等部の頃から、高圧的な態度を取られると蛇に睨まれた蛙のように体が硬直して、動けなくなる。
きいやちゃんには、関わって欲しくないのに…
「ほら、また泣く。あんたは、いくつになっても泣き虫のままね。」
きいやちゃんに抱き寄せられ、目を閉じて身を委ねると、きいやちゃんのお腹が悲鳴を上げた。
「お腹空いた…」
「…ごめん。夜ご飯、まだだったよね。直ぐに何か作る。」
「私も手伝います。」
ずっと性欲処理機だと思っていた。
泣いても、叫んでも、どんなに痛みを訴えても誰も助けてくれない。
乱暴に矢濱に教室から連れ出された時も、その場にいた全員が見て見ぬ振りをした。
僕だって、騙されたのに。
目を閉じて耳を塞げば、少しだけ痛みが和らぐ気がして、ひたすら耐え続けた。
被害者は、僕なのに。
殴られる体の痛みより、無理やり同級生に犯され、自尊心を砕かれた心の痛みの方が強くて自分の心に蓋をした。
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