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小さな一歩【ちなは】*10
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不満を漏らすきいやちゃんの発言に、会長サマと顔を見合わせて笑う。
「ちなはさんも、お好きなんですか?」
「祖母がよく作ってくれて…」
「ちなは、おばあちゃん子だもんね。」
祖母の作るご飯は、本当に何でも美味しかった。
「…会いたいな、おばあちゃんに。」
特に、南瓜の煮物は最高で…
「「 南瓜の煮物、食べたい…」」
ぽつりと呟いた一言が、きいやちゃんとハモってまた笑いが漏れた。
「南瓜、いいですね。」
それに会長サマも便乗して、明日のおかずが決まる。
今まで一人だったキッチンに、誰かと一緒に立つ日が来るなんて…
豚カツを揚げ、野菜を切って、豚汁の味を整え、豚肉の野菜巻きを焼く。
いつもより早く仕上がって、食卓に運んだ。
きいやちゃんがしてくれた少し雑な千切りキャベツも、ご愛嬌って事で。
「この豚汁、凄くあっさりしてますね。」
「とろけるチーズを入れると、また違う感じになるよ。」
少し手を加えるだけで、簡単にあっさりからこってりに味を変えられる。
「一杯めはそのままで。二杯めはチーズを入れて飲むのが龍雲流!」
「そんな大層なものでもないけど…」
こんな穏やかな時間がいつまでも続けばいいと思いながら、僕らはゆっくりと時間を過ごした。
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