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【榎月】*01
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以前から感じていた、ちなはさんの危うさが少しずつ薄れてきているような気がする。
もう、自暴自棄になんてさせたくない…
「楓月たちもいませんね。他を回っているのかも知れません。電話をしてみては?」
「…うん。」
非通知の電話がきたと言ってから、ちなはさんの表情が明らかに強張っている。
このままだと、最後まで楽しめずに終わってしまいそうで…
それほどまでに、矢濱はちなはさんに影響を与え続けていたようだ。
彼が一瞬で、萎縮してしまうほどに。
もし、ちなはさんが弓道を始めてくれれば、それを口実に干渉が可能になる。
常に誰かが傍にいれば、矢濱たちも今までのように簡単には呼び出しにくくなるだろう。
『風紀委員会』として、防波堤になれるかも知れない。
そうなると、同じ陸上部の楓月と瑠璃にきいやさんを任せる事が出来る。
彼らが、ちなはさんを簡単に手放すとは思えない。
今まで従順だったのなら、尚の事。
矢濱は、思い通りに動く操り人形を時間を掛けて作り上げた。
確実に人を支配するには、恐怖を植え付けるのが一番手っ取り早い。
そう、歴史でも物語っている。
だから、生理的欲求も心理的欲求も満たすちなはさんは、彼らから逃げる思考を奪われていた。
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