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八面玲瓏(※)
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「はい、ズボン脱いで」
優しい声で歌うように紡ぎだされる言葉はやんわりと玲央を包み込む。
「や、やだ」
「玲央」
甘く自分の名前を呼ぶその声は心なしか熱を帯びていて、胸が高鳴った。
甘い誘惑に抗い切れずに先ほど着替えたばかりのズボンを少しだけ下げる。
「全部脱がないと汚れちゃうよ?」
クスっと笑った電話越しの龍舞からも、金属音が聞こえてきてベルトを外しているのだと察する。
今から龍舞も同じことをするのかと思うと、胸の高鳴りが増した。
何故玲央が全部脱いでいないと分かるのか、と問うと、
玲央のことだからね、とあまりに甘い含みを持った言葉で返されて喉が詰まる。
「脱いだ?」
「・・・ぬ、いだ」
「おりこうさん」
脱いだズボンをベッドの足元の方に追いやり、スペースを空ける。
携帯電話をスピーカーに設定してベッド脇の机の上に置いた。
そっとベッドに横たわると、龍舞の匂いに包まれて腰の奥が疼いた。
「じゃあ、前握ってみて?」
半強制ともとれる卑猥な言葉に抵抗する気も起きず、
下着をずらしてここ最近ずっと触れる事の無かった性器を握った。
すでに頭をもたげているそこに触れると、どんどんと硬度が増してくる。
「ん・・・」
あられもない声が口から零れ落ちるように発せられ、思わず唇を噛む。
「唇噛んじゃダメ。声聞かせて」
この様子を見てもいないくせに、玲央のやっていることを言い当てられて
嬉しいんだか、悔しいのか複雑な気持ちで口元の力を抜く。
「擦って」
先ほどより余裕のない声がベッドサイドから聞こえる。
この甘い声と快楽が結びつくようになっているのか、刺激を与える性器が潤いを増してきた。
「玲央、スピーカー?すっごいやらしい音聞こえる。もう濡れてるの?」
「ん・・・や・・・」
「ほら、片手お留守。乳首、触って」
言われた通りに片手でTシャツを弄り、もう既に立ち上がっている胸の突起に触れる。
「あっ・・・!」
ご無沙汰な刺激に胸の飾りが歓喜している。
もっと触って、とでも言うように上方向に立ち上がり、少しでも玲央の指に近づこうとしているかのようだ。
「あ、やだ、これ、ダメ・・・」
「なにがダメなの?気持ちいいでしょ」
見透かされたように迷いなく発せられる言葉は、玲央の感覚をより敏感にさせる。
「気持ちよくて・・・ダメ」
「あ、今のちょっと来た」
何が、と聞き返す前にまた次の指示が流れてくる。
「玲央はね、指先で擦るの好きだから。スピード早くしてみて」
言われた通りに胸の突起を擦るスピードをあげる。
時折固く尖ったそこに指が引っかかるようになるのも気持ちがいい。
どんどんと射精感が高まり、玲央自身がぱんぱんに腫れ上がっていく。
「あ・・・っん、い、きそ・・・!」
限界を知らせると、突っ張ったような声で「俺も」なんて言われたもんだから、
腰が甘く痺れる。
耳から与えられるその快感は玲央の性感帯に直通しているようだった。
「も、ダメ・・・いく・・・」
「ん、いっていいよ」
吐息交じりの龍舞の声に鳥肌が立ち、溜まっていた欲が放出される。
荒くなった息を整えていると、電話の向こうでも息を詰める声がした。
くた、と欲を放ってだるみの増した体をベッドに横たえる。
「龍舞さん・・・シーツ、汚しちゃった・・・」
「いいよ。洗濯機放り込んどいて」
ガサガサと後処理をする音がスピーカーから聞こえる。
「まずったな、玲央にもっと会いたくなっちゃった」
困るように笑うその声は玲央が大好きなその人の声に間違いなくて
胸がキュウ、と締め付けられる。
「今日は俺の家に泊まって帰って」
「なんで?」
「・・・やらしい顔してるだろうから、他の男に見せたくない」
以前より一層焼きもち妬きに変貌した恋人を愛しく思いながら、わかったと了承する。
じゃあ、また、と電話を切った後も甘い痺れが脳内を駆け巡っていて胸がいっぱいになった。
明日は、玲央の着替えとシーツを一緒に洗濯してから帰ろうと心に決めて、電話の前よりも
満たされたような、寂しいような複雑な気持ちで玲央は深い眠りの世界へと誘われていくのだった。
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