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艶ノ色/倦怠感(21頁)
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◆ ◆ ◆
次の日はどこにも行けなかった。
とにかく誰にも会いたくなくて、布団にくるまって過ごした。
何かを考えてしまうのも嫌で、ひたすら惰眠をむさぼった。
やっと起き上がる気になったのは、夕方過ぎ。
十数時間眠っていたはずなのにまったく寝た気がしなかった。喉が相当渇いているのか、息を吸うと痛む。
徹夜明けのようなぼんやりとした頭で、洗面台の前に立つ。
冷水で顔を洗い、喉を潤し、ふと、鏡の中の自分を見た。
ある部分に目が吸い寄せられる。
首元の赤いアザ。
花びらを散らしたように、いくつもついている。
否が応でも目に入る位置。もちろん、それを見越して付けたのだろう。
あの情事を嫌でも思い出すように。
「……バカが」
思わず口から漏れた悪態はケティへのものであり、自分自身に対してでもあった。
兄が留守だった時点で、あんなことになると予想できたはず。
それなのに避けなかった。
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