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ケティと関係を持ったのは、彼が兄と同居し始めてすぐ――ちょうど二年前くらい――からだった。
最初に押し倒されたときは激しく抵抗した。冗談かその場のノリだと信じていたから。
だが、彼は本気だった。
――「大切な“弟”をぐちゃぐちゃにする背徳感を味わいたいの」
などと言って美しく笑い、唇をおしつけてきた。
遂には犯される寸前になり、『口でするだけ』という契約で応じてしまったのだ。
一度きり――のはずが、それ以来、何度も何度も。
仕方なく始めた関係。
それでも事の最中は気持ちが良かった。
同じ男であるせいか、それとも彼の力量なのか、イイところを探り出され、抵抗しながらも快楽に溺れてしまう。
そうやって、瞬間的には満たされた気分になれた。
だが、しょせんは愛の無い行為。
肌を重ねるにつれて、虚無感が大きく膨らんでいった。
兄に知られたらどうなってしまうのか。考えただけでゾッとした。
だから半年前、もう二度と関係を持たぬと決めたのだ。以来、二人きりにならぬよう警戒してきた。
――はずだった。
なのに昨日のあのザマである。
兄に会いたいのなら、直接連絡すれば良かったというのに。
わざわざ部屋を訪ねる必要はなかったというのに。
――「こうしてほしかったんでしょ?」
微笑をたたえる紅い唇を思い出す。
彼の言う通りだったのかもしれない。
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