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「……龍広」
頭の上でケティの声が聞こえた。
彼は俺を抱き起こすと、後ろから腕を回してきた。
半分眠っている身体には、うまく力が入らない。ただ身をまかせるしかなかった。
「そんなに、泣かないで……」
ケティは肩にアゴを乗せて、両の腕に、ぐっ、と力を入れてくる。
「離したくなくなっちゃう」
「……っ」
「龍広はこれからもずっと、あたしと一緒よ」
その声は今までになく優しい。
「いいでしょ」
左手は胸をまさぐり、突起を撫で上げてくる。傷ついているそこは快感と共に痛みを生み出す。
「っ、あ……!」
「貴方はもうとっくにあたしのものなんだから」
「……んんっ……」
「心も頂戴。全部……全部、欲しいの。頂戴な」
「やぁ、……」
「返事は?」
「――アッ!」
爪先で弾かれ、身体が無残に反応し、ひくっ、と跳ねる。
その拍子に目頭からは雫がこぼれた。温度の無い、涙が。
「ほら、早くして」
「っ……、い、……ぁ……」
――響に、逢いたい。
気がつくと、俺は首を振ろうとしていた。けれども力を失った身体。拒絶の動きにはならぬほど、髪がかすかに揺れるだけだった。それでも、
「……い、や、……だっ……」
これ以上、ひれ伏すのは嫌だった。
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