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いたみ/君の腕(186頁)
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「嫌だ。離さない」
ぽつりと言い放ったと同時に、彼は後ろから抱きついてきた。
「……っ!」
「絶対、離さないから」
脇の下から挟み込むような腕の力は、とても強かった。痛いくらいに。
言葉にならない彼の思いが伝わってくるようだった。――だから、振り払えなかった。
「たっくん」
鼻先で首筋をなぞるように押し付けてくる。
「……んっ!」
「やっぱり。この前と同じ匂いがする」
「……」
「すっごく、……嫌なこと、されたんだよね……?」
おそらく、もう分かってしまったのだろう。俺が何をしてきたのか。
それでも言葉を選び、傷つけないようにしてくれている。心配してくれているのだ。
「この前も、そうだったの?」
「……」
「ねぇってば」
――こんな、俺なんかを。
「どうして黙ってるの?」
「……っ」
「ねぇ」
「……別に、……俺が、誰と、したって、関係無いだろ……」
「たっくん……」
やさしくささやくと同時に、背中をさすり始める。慰めるかのように。そっと傷口をなぞるかのように。
「嫌なのに……とっても、辛かったよね……」
彼の手の肉質を感じていると、思わず吐息が漏れてしまう。もっと求めてしまいたくなる。
「たっくんが辛いなら、ボクだって辛いよ」
そんな自分がたまらなく嫌だった。消えて無くなってしまいたかった。
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