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(191頁)▼過呼吸注意
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「……ひ、びき……」
乱れた呼吸を掻き分け、怖い、だとか、死ぬ、だとか、いつもなら決して口に出せぬ弱音を次々にこぼしてしまう。
情けないなどと考える余裕はなかった。
《大丈夫。落ち着いて》
「……ひっ、ぐ……」
《ボクがそばにいるからね》
「ひ、び……」
《絶対に死なせないから》
「……ひ……」
《きっとね、身体が『助けて』って叫んでるんだよ。今までずっと我慢してきた分、苦しくて当たり前だよ》
その励ましに、ボロボロと泣いていた。悲しいのか悔しいのか怖いのか嬉しいのかすら分からず、勝手に涙があふれて、とまらない。
《ボクがいるからね》
響はよろめくことなく、しっかりとした足取りで歩き出した。
《一緒に、帰ろう……》
今はただ、彼にこの身をゆだねるしかなかった。
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