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俺は自分のもつれる指でボタンを三つ外し、寝転んで、きつく目を閉じる。
何かを思う響の表情だけは見たくない。
右まぶたがズキンと引きつるように痛んだ。
「たっくん……」
響は濡れたタオルで俺の目を冷やしながら、腹のあたりをポン、ポン、と叩き始める。高熱の子供を寝かしつけるかのように。
「……もう、我慢しないでね……」
そのリズムに呼吸を合わせていると、全身の筋肉がずっと緊張し続けていたことに気づいた。
「……今まで、ずっと、頑張ったんだから」
やさしく語りかけてくる声を聞きながら、俺の意識はだんだんと眠りへといざなわれていく。
「おやすみ……」
現が夢に切り替わる最後の数秒、俺はあらがうように薄く目を開いていた。
にじんだ視界の向こうには、響がいてくれる――。
幸せだった。
信じられないほどに。
熱い涙がこめかみをつたっていくのを感じながら、深い眠りへと落ちていった。
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