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雨の中/無意味(200頁)※
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どうしてそんなことをしてしまったのか、自分でも分からない。
「――響ッ!」
気づいたら、何もかもが弾け飛んでいた。
衝動のまま彼の身体に覆いかぶさり、その首と腰に手を回し、力いっぱいに抱きしめた。
今まで果たせなかった想いをぶつけるように。
「……ひび、き……っ!」
それだけでは事足りず、胸いっぱいに彼の髪のにおいを吸い込み、唇の先でやわらかな頬をなぞる。
薄い皮膚を通して伝わってくる温度はとても心地よかった。擦れ合う皮膚は痺れるような甘い疼きへと変わっていく。
「……っ、ん」
もっと彼を感じたい――求めれば求めるほど身体は渇いていく。
熱に誘われるまま、吐息をもらす場所をふさいだ。その呼吸を止めそうなほど激しくむさぼってしまう。
この瞬間、気づいた。
俺は、やっぱり、響が欲しい。
希望のままに前を見据える明るさが。
傷ついた者のそばに寄り添う優しさが。
小さなことを気に留めない朗らかさが。
ときには他人に甘えられる図々しさが。
そのすべてが、欲しい――。
「ンンッ!」
我に返ったのは彼の苦痛が震えとなって舌先に伝わったときだった。
すべての罪を自覚したのは、重ねあった唇を離したあとだった。
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