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瑶と潤「月曜の学校 国語」
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普通、悪い、良い、とても良い。
潤に声をかけてきた4人を、瑶は、頭の中で評価した。
二番目の生徒が、潤の身体を利用している悪い輩の一人だな、と覚えておいた。潤は、ちゃんと断っていたので、よしよし、と思った。
潤は、教科書を借りてきてもらったようだった。瑶も、教科書を借りる予約をしてきた。
「なあなあ、瑤って、潤と仲いいの?」
近くの席の人に聞かれた。
「どうして?」
「潤と朝、いっしょに来なかった?」
「ああ……うん」
「どういうこと?」
「帰りも、最近、いっしょに帰ることあるんだ」
「ふうん」
ほかの人が話しかけてきて、うやむやになったので、助かった。
「大洗」
現国の時間、潤が寝ていた。
「おい、潤」
隣の席や、後ろの席の生徒に突つかれて、起きたけれど、潤は、ぼんやりしていた。
「大洗、あらすじを言ってみなさい」
潤は、きょろきょろして目をこすりながら、立ち上がった。
夏目漱石の『こころ』だった。
「同性愛者の先生が、若い私を好きになったけれど、先生は結婚しているので、告白もできず、自殺してしまう話です。死ぬにあたり、長い手紙を書くのですが、その手紙にも、君が好きだった、とはとうとう、書けないのです」
教室中が、どっとわいた。
「さすが潤、エロいぜ」
「ホモの話しになってる」
「潤ちゃん、それ体験談? 先生って誰のことぉ?」
教師は、赤くなって怒った。
「静かに! 大洗、そんな話ではない。教科書に載っていることだけ言いなさい」
「はい、すいませんでした。教科書に載っている部分は、先生と、死んだ友達の思い出です。先生は美男子、友達は朴訥でマッチョなタイプで、女性を取り合うんですが、実は二人ともゲイでお互い心では愛し合っているのに……」
みんなの笑い声で潤の声が聞こえなくなった。教師が手をパンパン叩いて言った。
「静かに! 大洗、破廉恥な話は、もういい。座りなさい」
潤は、座ったとたん、眠りに落ちて、休み時間も寝ていた。
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