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トモと昴「ロープ」月曜夕方
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月曜の夕方、授業とバイトを終えたトモは、昴の部屋に戻った。
「昴ぅー、帰ったぞー」
トモは、昴が犬みたいに飛んでくるかと期待したが、そうでもなかった。
「ああ、俺も大学からさっき帰ってきたところ」
と、つれなかった。
「なんだよ、嬉しくないのかよ?」
トモがすねると、
「嬉しいよ。いちおう」
と言って、玄関先にあがったばかりのトモの股間を触ってきた。
「あ……昴……」
今朝会ったばかりなのに、ずっと離れていた気がする。
恋しいのは、トモの方だった。
「なあ……昴、俺のこと、好きか?」
「好きでなかったら、こんなことしないって」
「ほんとか?」
「潤じゃないからな……トモとも違う」
「ごめん……もう、浮気はしない」
トモは合宿の自分の行動を、いまだになんだったのか解せないでいた。とにかく、あれは、いつもの自分ではない。木村が指摘したように、どうかしてたとしかいいようがない。もう、あんなことは、しないだろう。なのに、昴は言った。
「いや、してよ。まず、相手は木村だな。俺は、木の陰から覗いとくから、大学のキャンパスで誘えよ」
「えぇ? 無理だよ。木村って真面目だから。俺、木村と付き合うことになるぜ? いいの?」
「木村に寝取られる俺……」
「なに興奮してるんだよ?」
「木村って、顔きれいか?」
「普通だよ。昴のが、ずっときれいだよ」
「トモ、俺のこと好きか?」
「好きだよ」
「誰でも反応するんだろ?」
「そりゃ、触られれば誰だってそうだろ」
「俺のこと好きって、どうやったら証明できる?」
「今ここにいること。俺は、恋人優先にしたりしないのに、昴にかかりっきりになってる」
「だからって好きとは言えないだろ?」
「うん……なあ……もっと触ってくれない? さっきから、もどかしくて」
トモは、デニムのボタンをはずした。
「直接……下着の上からでもいいから……」
「俺のも触れよ」
昴も同じようにした。
二人で触りあって、キスしながら、トモは、何度も昴に好きだと言ってやった。
トモが愛の交歓と股間の心地よさに、しばし、うっとりしていると、昴のスマホが鳴った。
電話に出た後、いきなり昴が言い出した。
「これで縛ってくれない?」
昴は、ロープを示した。
「え?」
昴が、昨日、トモの浮気に抗議して、首でもくくろうとしていたのかと思って、慌てて奪ったロープの用途は、幸い、トモの懸念とは違ったらしい。
幸いなのだろうが、なんとなく、そこまで思いつめていたのかと愛しさを募らせて勝手に情熱的に盛り上がっていたトモは、少し拍子抜けした気分になった。
「バイト先からもらってきた」
昴は、太い作業用の綿ロープの束の端を、トモに示した。
「縛るって、何を縛るんだ?」
「縛るっていったら、俺をだよ」
「は?」
しばらく言っている意味が理解できなかったが、昴が屈折した趣味の持ち主だということをようやくトモは思い出した。
「愛してるから縛って」
昴は、トモの反応を躊躇と見たのか、トモをそそのかすように媚びて言った。昴は素直じゃないので、そうそう人に媚びたり甘えたりしない。それが、これだけ媚びた言動をするなんて、どんだけ縛ってほしいんだよ、とトモは呆れた。
「試してんの? 俺のこと」
トモは聞いた。
「俺があんたのこと本当に愛してるのか」
なかなか素人にはハードルの高い、マニアックな行為だと思ったのだ。
「違う」
昴は、トモのロマンを無視するように、あっさり答えた。
「もうすぐ潤が帰ってくるって、潤から電話があったから」
「は?」
弟が帰ってくるから縛って?
なんのこっちゃ。
「潤が土日実家に行っていて、久しぶりに帰ってくるから、歓迎の意味で」
俺のことは、どうでもよくて、ジュン君のことかよ!
土日実家って、久しぶりでもなんでもないじゃないかよ。いつもいっしょに住んでるんだし!
で、俺も土日いなかったんだけど。
それで、昴が寂しがるから、急遽、予定変更して帰ってきたんですけど!
「月曜の朝、ここに寄らないで学校行ったから久しぶりなんだ」
昴が、トモの不満げな表情を見てとったのか、そう言った。
「潤に見せて安心させてやりたいんだ」
そのセリフのみをとってみれば、不甲斐ない兄が、更生した姿を迷惑かけた弟に見せてやりたい、みたいだったが……。
「縛られた姿をジュン君に見せたい?」
「トモに縛られた姿を見たら潤も安心するだろう?」
「うん、安心する……わけないだろ。言ってる意味がわからないから」
「いいから」
「こんなところで?」
玄関ドアを開けてすぐだ。ジュン君じゃなかったら、どうするんだ?
「すぐ見せたいから」
そう言う昴の性器は別に勃っているわけでもない。
「痛いだろ、このロープ」
トモはロープをピンと引っ張ってみた。
「いいんだ。慣れてるから。少し痛がってるくらいがインパクトも大きいし」
昴は、うっとりしたような顔で言った。
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