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夏目と潤と譲「兄さん最強」caution
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三人は、ぐったりした。きりがない。三人でいる限り終わらない。いつかそのうち飽きるだろうか。
「ちょっと外の空気吸ってくる。コンビニで何か買ってこようかな」
夏目は、こんなことばかりしていてはいけないと思い、気分を変えるために腰をあげた。
身体のあちこちが筋肉痛で痛かった。少しふらついた。
「夏目さん」
ドアを開けてすぐ夏目は、マンションの隣の住人に会った。
「こんにちは」
夏目は、いつものように明るく挨拶した。挨拶したあとで、はっとして恥ずかしくなった。声が聞こえていたかもしれない。
「あの……これ、よかったら。枝豆ですけど、たくさんもらって食べきれなくて」
夏目の恥ずかしさが伝染したのか相手も恥ずかしそうに顔を紅潮させて紙袋を渡してきた。
「そうですか。じゃあ遠慮なく」
夏目が受け取ると手がぶつかって相手がびくっとした。
「あの……失礼ですが……声が聞こえて」
隣人はますます顔を赤らめて言った。
「あっ……すみません。知り合いが来ていて、うるさかったですよね。すみません、気をつけます」
夏目は恥ずかしさに早口で言った。
「あの……俺も、ああいうことしたいな、なんて、あはは」
隣人が笑ったので夏目も照れ隠しに笑った。
「あはは……」
「思いましてね……」
急に隣人は真剣な表情になり夏目を壁に押しつけた。
「ちょっと……んんっ」
隣人は夏目に唇を近づけてきた。
「キスしていいですか?」
相手の荒い息が頬にかかった。
「だめです」
夏目は必死で顔を背け拒んだ。
「すごかったですよね、アナルとか、されるんですか?」
まる聞こえだったのか?
「僕はしません。あれは知り合いが」
夏目は言いわけした。
「あなたもしたんでしょ?」
上腕に隣人の指が食い込んでコンクリートの壁に肩甲骨があたって痛かった。唇がどんどん接近してくる。あぁぁっ、絶対絶命……身体は恐怖で動かなかった。潤君! 譲! 声も出ない!
「あれ? 夏目先生!?」
その時、潤の声がした。助かった!
「潤君!」
住人の手の力がゆるんだ。夏目は身体をずらして腕の下からすり抜けた。
「へえー、こんな若い子と……へえー」
住人が潤の顔や身体を上から下までじろじろ見た。
「違います。僕はしてません」
夏目はごまかした。
「ねえねえ兄さぁーん! 隼人さんが、からまれてるよぉ!」
潤が部屋の奥に向かって叫んだ。
「えっ、どうした? 隼人?」
譲の声がした。
すぐに譲がドアから姿を現した。夏目は思わずすがりついた。
「譲!」
「隼人に、なんの用ですか?」
譲は住人に言った。
「枝豆渡しにきただけです……えへへ……声が聞こえたんで」
住人はごまかし笑いを浮かべて答えた。
「あ、すいません」
譲はあわてたように言った。
住人は、隣のドアに消えた。
夏目たちは手提げ袋いっぱいの枝豆を茹でて食べた。
「隣や下に声聞こえるよな? あんな大声で叫んで」
「このマンションかなり壁や床厚いけどね。窓もペアガラスだし。でも気をつけよう」
「隼人が無事でよかった。危ないよな、隣の住人」
「うるさくて迷惑だったんだよ、きっと。今度から気をつけよう」
「兄さんの姿見て、びびってたよね」
潤が兄に対する尊敬の念でいっぱいのように誇らしげに言った。ああ僕も昔は弟から、こんな尊敬の眼差しを向けられていたのに。譲との行為を見られた時から、弟のこの眼差しを失ってしまった。それから無事に大学を卒業し医師免許もとれて毎日仕事でがんばっているというのに、弟のあの眼差しは回復しない! 夏目は悲しく思った。もっともっとがんばったら、弟は、また自分のことを尊敬してくれるだろうか? 兄さんと言って明るい笑顔を向けてくれるだろうか?
「やっぱり兄さん最強」
潤は言った。
「俺が出ていってもビクともしなかったのに」
そしてちょっとだけ不満そうだった。
「潤君が気がついてくれてよかったよ」
夏目は潤に微笑みかけた。
潤は満足そうに枝豆の鞘に口づけた。
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