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ホールに入ると、中にいた全員がこちらを向いて反射的に立ちがった。
どうだった、青峰は無事か。
みんながみんな目で語っていた。心配に満ち溢れた目で。
それを安心させるように青峰の手を掴んで中に引っ張り込む。
中に入ってきた青峰に一番に向かってきたのは桃井さんと黒子だった。
まず桃井さんの平手打ち。続いて黒子のグーパンが腹に収まった。
パァンという音とドスッという音にほんの少し青峰から離れたのは仕方がない。うん、仕方ない。
「このガングロ馬鹿!」
「君がアホだとは知っていましたが、ここまでとは思ってませんでした。」
超激おこの二人の攻撃にう、と小さな声を漏らしながらも二人の頭を撫でる青峰。そのままホールの真ん中近くへと歩いていく三人を見つめて、やっぱり杞憂だったかと胸を下ろした。
「すまねえ。でももう大丈夫だ。」
その言葉を聞いて全員が安心したような表情になった。青春っていいねぇwww
「何にしても無事でよかったと言っておこうか。でも、罰は罰だからな?落ち着いたら覚えておくように。」
手も出してない赤司の言葉で今世紀最大の顔色を見せる青峰。
まあ、心配させた罰なのだから青峰も甘んじて受け入れるだろう。
若干落ち着きを見せ始めたホールで、青峰はずっと何か決意したような顔をしていた。
それが分かっていたから、俺も何も言わずに待っていた。
いつもと違う青峰の表情に気づき始めたのか、話していた奴らが次第に静かになっていく。
「…なんか気づいてんのかも知んねえけど、全員に話すことがある。」
改まった言い方に、さすがの赤司も口を出さなかった。
青峰は全員を見渡し、ゆっくりと頭を下げた。その肩は、震えているようにも見えた。
「すまねえ。お前らをここに連れてきたのは、俺だ。」
さっと全員に目を向ける。杞憂だと思ってはいるがもしもの事が起こり得ることだってあるかもしれない。その時青峰を助けるのは俺しかいない。
例え青峰を信じていたとしても、動揺で動けないなんてざらだ。
見る限り青峰に手を出そうとする奴は見当たらない。数分にも思える時間の後、青峰はゆっくりと頭をあげて話し始めた。
黒子を傷つけたことを今も尚ずっと後悔していること。
時が止まって、あの時が続けばいいと思っていたこと。
そんなことを考えている時に女の子に声をかけられたこと。
願いごとがあるのでしょう?私もあるのだと言われたこと。
探し物を手伝ってくれと、その探し物は小さな箱だと言われたこと。
それを了承してしまったこと。
そして、知らぬ間に結ばれた約束と共にここにいる全員を連れてきてしまったこと。
「言い訳の余地もする気もねえ。謝って済むことじゃないのも分かってる。ただ、本当にすまなかった。」
最後にもう一度頭を深く下げて青峰を話を終わらせた。
ホールは沈黙が続いたまま、誰も口を開かない。
…もしかしてマズいか?
少しだけ腰を浮かせていつでも青峰の場所へ行けるように体勢をとった。
キセキは大丈夫かもしれない。でも氷室や火神は?
あいつらは完全な巻き添えだ。
『お前が、お前が言い出さなかったらこんなことにはならなかったんだよ!!』
『なんで…なんで俺たちが!お前のせいで!!!!』
頭の中で響く言葉に必死に蓋をする。
思い出すな。思い出してももう何も変わらないんだ。
「…ふざけるな。」
聞こえてきた声にはっと顔を上げる。嫌な頭痛が考えるのを邪魔して止まらない。
待って、待ってくれ、
真ちゃん。
「なんだその理由は。」
音もなく立ち上がったかと思うとつかつかと青峰に近づいていく。
助けに行こうと思っても、足が縫い付けられたように動かない。
口を開こうと思っても、喉がカラカラで声すら出ない。
なんで、どうして。
そんなこと言う資格がないことくらい、知ってんだ。
歩みを止めない真ちゃんは、そのまま青峰の胸ぐらをガッと掴んだ。
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