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the same
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ああ、ダメだ。
やっぱり、許されるはずはなかったんだ。
「そんな理由で、俺たちが怒るとでも思ったのか!」
────。
あ、とかう、とか。
そんな言葉すら出てこないくらい、頭が真っ白になった。
青峰も驚いたのか、目も口も開いたまま真ちゃんを見ていた。
「後悔していると言ったな。そんなもの俺たちだってしているのだよ。あの時間違ったのはお前だけではない。あれは、俺たち全員が犯した間違いなのだよ。」
「…っでもよ、」
「あのさ〜峰ちん。」
なにか言おうとした青峰の言葉に重ねるように紫原が口を開いた。真ちゃんは、言いたいことを言ったからか青峰から手を離す。
「峰ちんは俺たちを貶めようとしてここに連れてきたの?」
怒ってるわけでもない、ただ聞いているだけ。答えが分かっているかのように、その瞳にも言葉にも棘はない。
「そんなわけねぇだろ!誰も巻き込みたくて巻き込んだんじゃねえ。」
「なら俺は別に怒んないよ。理由もないし。」
「アツシがそう言うなら俺も。」
氷室が同調するように頷く。
…ああ。
そこでようやく頭が動いた。
どう表現していいのか分からない感情がぐるぐると浮かんでは消える。とてつもなくもどかしくて、それでも言葉には出せない、出してはいけないような感情。
「大ちゃんが突っ走るなんていつもの事だしなぁ。そのくせ反省とかなにそれって感じなんだから、今回の謝罪は大きな進歩として受け取っといてあげる。」
泣いた跡を隠すように目を擦った桃井さんが笑う。でも心配かけたのは許さないから!と肩に平手を叩き込みながら。
「桃井さんの言う通りです。ただ、僕たちに相談もせずに出ていったのは許しませんよ。バニラシェイク三回奢られても許しません。五回奢ってください。」
「んじゃ、それにビンジョーでおれはバーガー三十個な。」
黒子と火神がそれに続く。火神なんてホラーくそ苦手なのに怒らない。
「っていうか、青峰っちが俺たちと離れて寂しいとか思ってた方が衝撃的ッスよ!俺と会ってもウゼーとか駄犬とかしか言わないのに!あ、もしかして照れ隠しっスか?」
「うるせぇよデルモ。」
「酷いッス!」
黄瀬と青峰のやり取りにどこからか笑いが聞こえてくる。青峰が嬉しそうな、でも納得しきれていない表情で笑った。まるで許されることが許せないような。
残るは、赤司だけ。
「大輝。」
「…おう。」
赤司が口を開いたことで、ホールが一気にシンとした。
それでも、ここにいる全員がわかってる。
赤司が青峰を許さないはずがないってことを。
「もう十分わかっているだろう。ここにいる皆が言ったこと、それぞれ全てが僕たちの総意だ。」
誰も口を開かない。そうだ、とも違うとも言わない。言わずとももう分かっている事だから。
知らず知らずのうちに俺は目を細めていた。目の奥が熱い。
本当は“あの時”言って欲しかった言葉が、全部ココにある。
「全員でここを出る。命令だ、拒否権はないぞ。」
高圧的な言葉は、それでも優しい。
「…、ああ。」
俯きもせず、真っ直ぐに返事をした青峰の声は小さく震えていた。
「ただいま。」
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