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分かっていた。
この感情が裏切りだってことも、あいつらが本当はいい奴だってことも、俺がそんなに強くないことも。
「コトリバコを開けようって言ったのも箱を買ったのも、開けたのも全部俺だった。そんなこんなで来ちまったこの世界に、ただの中学生は耐えられなかった。」
『な、んで…なんで!!!俺達がこんな目に遭わなきゃなんないの!?』
真っ先に叫んだのは瑛だった。落ち着けと伸ばした手は伸ばした相手に弾かれて。
『うううるさい!!黙れよ和成!お前が、お前が言い出さなかったらこんなことにはならなかったんだよ!!』
それに続くように秀(ひで)って奴も俺の胸ぐらを掴んだ。
『…そうだよ、カズ。なんで…なんで俺たちが!お前のせいで!!!!』
今思えば錯乱してた。何言っても二人には届かなくて、縋るように最後の一人、亮(りょう)の方を見たけど、亮は俺から目を逸らした。
「瞬はもういなかった。“これ”が起きる少し前に化け物に殺されて、俺たちの目の前であいつらの仲間になった。……多分それが、限界だったんだ。」
たった一回、されど刻まれた傷は深くて痛かった。
「その後すぐ正気に戻ったあいつらは俺に謝ってきた。でも分かり合うためには話し合いが必要で、それをする前にみんな死んだんだ。」
許されないまま、俺だけ生き残って。
「だから青峰と色々重なって見えてさ、それでもあいつと俺は違った。んで、このザマ。」
この感情の名前は羨望だ。
羨ましかった。青峰が、許してくれた青峰の仲間が。
「ほんのちょっとでも、許して欲しかったって…俺にもあんな仲間がいたらって思ったんだ…最悪だよな。」
ここに連れてきて、殺したのは俺なのに。
呼ばれたのは、俺だけなのに。
「俺が言うべきなのかは知らないが、それは高尾だけが悪いわけではないのだよ。」
「俺が言い出しっぺなんだ。あいつらはただノリでやっただけで…」
「ではお前はこうなると分かっていたのか?言い出したのが高尾、お前だとしても、それに乗っかってきたのはお前の仲間なのだよ。嫌なら反対すればいいだけの話だ。」
責めたらキリがない。真ちゃんはそう言って俺を見た。
それが真ちゃん的持論だとしても、俺がそう思わなくても、ほんの少し、そう、ほんの少し救われた気がした。
「それに、こうなった以上やれることをやるしかないのだよ。高尾は十分やっている。」
やれることをやるしかない、か。
そうだよな。
「瞬と瑛、秀、亮に俺の五人で来て、瞬と秀と亮はもう終わった。後は瑛だけなんだ。…あいつが一番この世界に怯えてた。早く救ってやらなきゃ。」
タイムリミットが来る前に、早く。
「ありがとな、真ちゃん。なんか元気出たわ!w」
ニカッと笑ってやれば照れたように顔を背ける真ちゃん。男にいう言葉じゃないのは知ってるけど、可愛い。
「とりあえず今日は休むのだよ。明日からまた始めよう。」
「おう!」
あいつらとはまた違う、新しい仲間。
真ちゃんもいる、仲間。
今度こそ、守るために頑張んなきゃな。
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