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「……想像していたより暗いな…」
氷室のその言葉に、黄瀬と火神が同意した。
俺達は俺、黄瀬、氷室、火神の順番でゆっくり直進し続けていた。
どうでもいいことだけど、俺以外みんな武器バッドwww
「もうすぐエスカレーターがあるところに着くけど、どうする?」
俺の言葉にいち早く反応したのは火神だった。
「は!?どうするって、まさか行くのか!?上!」
かなり大きめの声に、氷室が「タイガ!」と小さく指摘した。
「あ、すまねえ……でも、行くのはやめとかねぇか?」
振り返ってみると、顔を歪めながら両手でバッドを握り締めている火神が見えた。
「もしかして火神…ホラー無理系?」
俺の一言に過剰反応する火神。
マジかwwww
てかじゃあなんであの時赤司に言わなかったんだよww
火神みたいな奴は、きっといざという時に恐怖で動きが鈍くなる。ぶっちゃけかなり面倒なタイプ。
どうする?今のうちにホールに戻らせるか?
でも、その暇はなかった。
「…!!!端に寄れ!」
咄嗟にそう叫ぶと、三人ともすぐに道の端にある柱に隠れた。続くように俺も隠れる。
「…高尾っち?どうしたんスか?」
小声で聞いてきた黄瀬に喋るなと合図して、こっそりと柱から顔を覗かせる。
ぺた、ぺた。ぐちゃ、くちゅ。
微かに聞こえる音。氷室も気づいたのか、サッと顔をこわばらせた。
「……さっきの火神の声で、バレたみたい。」
そう告げると、黄瀬と火神も気づいたらしい。ひゅ、と息を呑む音が気こえた。
数分にも思えるほどの時間動かないでいると、〝あれ〟が俺たちが進もうとしていた方向から姿を見せた。
ぺた、ぺた。ガリ、グヂュ。
「ひっ、」
叫びかけた火神の口を氷室が塞ぐ。黄瀬は自分で口を塞いでいた。
さっき俺が見た奴とは違うが、明らかに化け物と呼べるモノがそこにいた。
上半身が異様に膨らんでいて、腹の部分には大きな口がある。歯とは呼べない、牙のようなものも生えている。
胸の部分には、絵の具で描かれたような不格好な目が二つ。
腕は片方がない。でも、もう片方の手が腕を持っていた。それも腐りかけの腕。
極めつけは、頭。頭がない。頭があるはずの場所には何もなく、代わりに腹の部分の口で何かを食べている。牙の間から、長い黒髪が垂れている。
食べてる。自分の頭を。
それに気づいた黄瀬が、音を立てないようにしゃがんだ。
暗くて本当によかったわww
ぺた、ぺた、ぺた…………ぺた。
不意に歩みを止めたその化け物は、まるで何かを探すように体を左右に振った。
まるで、俺達を探しているみたいに。
俺は慎重にホルスターを浮かせて、ズボンのポケットに手を入れた。
取り出したのは、武器を探して銃を見つけたときに試し撃ちした弾丸の欠片。
それを化け物の少し後ろに向かって投げる。
氷室がギョッとしてこちらを見たけど、無視!ww
カァン、キィンキィン……
大きさから既に小さかったから、音もかなり小さかった。
でも、その化け物は見た目に似合わないほどの速さで音のした方を向いた。
こっわw
そのまま音がした場所まで戻りそこでまた止まる。
なら、と持ってきたライトで化け物を照らす。
これにも氷室がギョッとしたけど、無視無視!wwwww
すると、さっきは怖いぐらい速く反応したくせに、今回は全く反応しなかった。
直接光を当てても、ブンブン振っても無反応。
「……?どういうことだ?高尾君。」
現状をいまいち理解できてないらしい氷室が、小さな声で聞いてくる。
「見たまんまでしょ。あいつは音には敏感だけど視覚はほとんど無い。色どころか、光さえ認識出来てないんだ。」
驚いたように目を見開いた氷室が、なら、と続ける。
「他の化け物も……」
「それはわかんねえな。」
被せるように言うと、そうか、と苦い顔をする氷室。それを見るあたり、氷室自身も可能性は低いと思っていたんだろう。
「とにかく、一旦引こう。火神、お前が先頭で行け。後ろは俺が歩く。」
あ、俺かっこよくね?www
ゆっくりと音を立てないように慎重に歩く。順番はさっきと逆の火神、氷室、黄瀬、俺だ。
あいつは追ってこないし、おそらく気づいてもいない。
後ろを前を交互に見ながら何歩か歩くうちに、俺はふとあることに気づいた。
「なあ、黄瀬。」
「…?なんスか?」
「お前、光ってね?w」
そう、黄瀬が光っていた!wwwww
ぼんやりと、だが確実に光っている黄瀬。
俺の言葉に、前を歩いていた火神と氷室も立ち止まり振り返った。
「ホントだ……黄瀬が光ってる…」
「確かに光って見えるね。」
小声で話しながらもかなり驚いた様子の火神と氷室。
「とりあえず、黄瀬、先頭歩け。」
「わ、分かったっス。」
こうして黄瀬を先頭に火神、氷室、俺の順番で歩き始めた。
にしても、黄瀬お前ちょーウケるwww
だから多分、全体的に気が緩んだんだろう。
だから、多分一番緊張していた火神が一番のミスを犯した。
ゴトン!!
響く鈍い音。転がるバッド。
火神が、バッドを落とした。
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