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replay
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落ち着け。
落ち着け。
真ちゃん達から逃げたあとエスカレーターにたどり着いた俺は、慎重に、でも素早くエスカレーターを上っていた。
これからあの化け物のところに行くっていうのに、頭の中から真ちゃんの声と顔が離れない。
『……高尾。』
やめろ。俺に思い出させんな。
俺は、捨てたんだ。
エスカレーターを上り切り、そのまま直進しようとしたその時。
ぴた…ぴた……ぴた。
気味の悪い、そんな音が聞こえた。
どこから?後ろ…じゃない。前でも、ない。となると、左は壁だから右だな。
エスカレーターがあるところだからここは両端の道が橋みたいにくっついているところだ。だから、あの化け物は向こうの道から来てるわけだ。
深呼吸して、覚悟を整えて、俺は、右を向いた。
その瞬間、化け物が思ったより近くにいて思わず声を出しそうになったのを必死に堪えた。
落ち着け…落ち着け。
近くにいて驚いたけど、あっちの攻撃が届くほど近くないと思い直して気持ちを落ち着けた。
化け物は、本当に気持ち悪かった。
人間の失敗作みたいな感じ。
でかい図体に小さい頭。片方の長さが手が半分足りなくて、その分の長さは首に足されている。
つまり、手の部分が首の付け根と頭のところに癒着して首としての役割を果たしている。
だから、あの化け物はくねくねじゃなくてゆらゆらだったんだ。
『……ア"、ガァ……』
地の底に響くような、人間なら絶対出せない声。
でも、違うよなw
あ、ようやく笑う余裕出てきたww
両手に持った銃に力を込める。
この銃はロックかけたりかけなかったりできるから、かけっぱなしにしてれば暴発しないし、かけていなければ連弾できる。
ロックも外した。
準備はできた。
『…ォオ"…グガァ……』
……行け!!
心の中で叫んで足を踏み出した。
瞬間。
「っ!」
後ろから誰かの声がした。
は!?
急いで振り向いた先には、
たった今エスカレーターを上りきった、
真ちゃんがいた。
なんで、いるのさ。
さっさと帰ってろよ。
その一瞬。
ほんの一瞬動きを止めた俺に、化け物は猛突進をしかけてきた。
もちろん気づいた時にはよけられるはずもなく、見事に俺ははじき飛ばされて壁に叩きつけられた。
「…がはっ…」
ヤバい、クラクラする。
頭、ぐわんぐわんいってる。
血ぃ、出てそう。
目も霞んでる。手も痺れてる。
それでもなんとか立ち上がって、真ちゃんを見た。
「高尾!」
うわ、やめろよ。
声出すなよ。
しかし時既に遅く、化け物の目が真ちゃんを捕らえた。
ゆっくりと、でも躊躇いなく化け物は長い方の腕を振り上げた。
「くそっ!」
なんで武器持ってないんだよ。
やめろよ。やめてくれ。
持てる体力の全てを使う勢いで真ちゃんの方へ駆け出す。
フラフラで、正直、真っ直ぐに走れてる自信ない。
でも、なんとかたどり着いて、俺は力の限りで真ちゃんを突き飛ばした。
ホント、やめてくれよ、真ちゃん。
お願いだから、コイツを人殺しにしないでくれ。
………………瞬。
『アガァッ……!!』
ザシュッ、という音が、嫌に耳に響いた。
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