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replay
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相変わらず化け物はシューシューと音を立てている。
でも、少しずつ形が変わっていってることに俺も真ちゃんも気づいていた。
「……これは…どういう、こと、なのだよ……」
「……見た通りだろ。」
化け物がいた場所にいるのは、一人の男。俺と同じくらいの年の、随分図体がでかくて頭が小さい男がそこに寝ていた。
そいつの顔は、さっきの化け物の顔と同じで、これが化け物の正体だと痛いほど思い知らされる。
「あの化け物の正体はこれだってことだ。つまり、あの化け物は元々人間だったってこと。」
と、男が目を開いた。まさか目が開くとは思っていなったのか、真ちゃんが後ずさった。
「あれ、俺…ここ……?」
上半身だけ起こしながら呟く男。
繋がっていない発言に思わず吹き出してしまった。
「あれ?俺なんでここにいるの?」って言いたかったのかな?ww
「ここはモールだよwwwだいじょーぶ??」
すると、その時初めて俺を認識した男の目が、みるみる見開かれていく。
その顔につられるようにして俺は笑った。
「お前……!カズ!?高尾和成!?」
「おう!元気そ?だな、瞬ww」
そう、こいつは俺の大事な友達、瞬。
俺の、大切な仲間。
会話を聞いていた真ちゃんが驚いた顔をさらに驚かせて近づいてきた。
「高尾、コイツは何なのだよ…!?」
「なのだよ!?カズ!この人誰なのだよ!?」
「真似をするな!」
仲良くなりそーだな、こいつ等w
でも、残された時間が少ないことを、俺は知ってる。
「瞬、こちらは真ちゃん。緑間真太郎って人よw真ちゃん、こっちは瞬。剣美 瞬(はやみ しゅん)ってのがフルネームw」
「よろしく!しーんちゃん♪」
「その呼び方はやめるのだよ。」
とりあえず紹介して挨拶ww
シリアスな話はそれから。
「瞬、悪いんだけど時間ないんだわ。今までのこととか思い出せる?」
瞬は空気の読める奴だから、すぐに真剣な顔になった。そして、少し考えるように俯いたあと、いきなりバッと顔を上げた。
「そうだ!ごめんカズ!俺……っ背中と腕平気か!?」
思い出した。瞬が。
化け物の時のこと。
胸のどこかがズキリと痛んだ。
「へーきへーきwwそんな深くねえからw」
「馬鹿者!深いに決まっているのだよ!そうでなければこんなに出血したりしないのだよ!」
え、と改めて見ると、確かにかなりの出血だった。おまけにまだ血が流れ続けてる。
真ちゃんめ、空気読みやがれっ!w
「俺、意識はあるのに体が言うこと聞かなくて、なんか考えることもできなくて、ただただ何も考えないでそれを見てて……っ!」
瞬は図体がでかいくせに怖い系が無理な奴だ。血も内蔵も無理だけどノリはいい、本当にいい奴。
「瞬、落ち着け。大丈夫だから。」
ビクリと肩を跳ねさせて俺を見る瞬。
顔は真っ青だし、小さく震えてるし、ホントに外見と内面が揃ってない奴ww
「瞬、聞きたいことがあんだ。お前、化け物になってた時、これ見かけなかった?」
携帯を取り出して瞬に見せる。そこに映っていたのは、俺がずっと探しているモノ。
「これ……箱?」
そう、携帯に映っていたのは一つの箱。
これこそ、俺がずっと探しているモノ。
「結構大事なモンなんだよ。見てねーか?」
「………見た。多分、見たことある。」
マジか!ww
思わず身を乗り出してから傷の痛みに顔を歪めた。
「どこでか分かる!?」
「どこだっけ……結構広いとこで…店はなかった……えーっと……あれ……っと」
ふらりと倒れる瞬。
え、時間切れ?w
「カズ…なんかめっちゃ眠い……」
言いつつも瞼が降りてきた瞬に、俺は無理矢理笑顔を作った。
「疲れたんだろwゆっくり休め。俺と真ちゃんで運んどいてやるよwww」
「…ん……」
そう答えて完全に目を閉じる瞬。
瞬は気づかない。
自分の体がまた蒸気みたいなのを発していることに。
「……カズ…」
「ん??」
いつもどおりの声を出す。最後くらい、安心させたい。
「肌色の髪の、女の子……その箱、持ってた……んだ…」
それだけ言って、ふっと笑う瞬。
俺は瞬時に真ちゃんの目を塞いだ。
「!?高尾!?」
見ないで。
俺とは思えないくらいか細い声が出た。
「お願い………見ないでやって…」
見せたくねえよ。
瞬が溶けてるところなんて。
それから、そこに瞬がいたって分からなくなるまで、俺も真ちゃんも動かなかった。
瞬が骨も全部跡形もなくなった頃ようやく手を離すと、真ちゃんが俺を真っ直ぐ見てきた。
「…高尾、俺はお前に聞きたいことが山ほどある。」
青峰と同じに真っ直ぐに意見を伝えてくる。
でもイライラしない。
「出来るだけ、答えるよ。善処するw」
「そうか…なら、目が覚めたら……たっぷり質問、させてもらうのだよ……」
それだけ言うと真ちゃんは倒れるように眠った。
同時に俺にも、耐え難い睡魔が襲ってくる。
絶対、絶対の絶対に。
迎えに行くよ、真ちゃん。
意識を手放す直前、俺は固く思った。
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