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the same
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涙も止まったところで、俺への質問大会が始まった。
「高尾達は、この…世界、と言った方がいいのか。この世界に来たきっかけというものはあったのか?僕達は、まるで覚えがないんだが……」
ああ、赤司も覚えなしか。
ってことは、赤司も俺が巻き込んじゃったのかねww
携帯を取り出してある写真を見せる。
「これ、なんだかわかる?」
それは、俺の探してる木箱の写真。
「キレーな模様っスねー。」
「ちょっと古そうですね…」
「大きさはりんご一個分くらい。写真見て分かると思うけど、綺麗な模様が入ってんの。んで、複雑なパーツに分けられるパズルみたいなやつだよ。作られたのは……まあ結構昔ってことでww」
しばらく写真を見ていた真ちゃんが、不意に口を開いた。
「インターネットでしか聞いたことはなかったが、もしやこれは……」
これを見つけたのは、ここに来た仲間達と一緒にいた時だった。
フリマでたまたま見つけて、安かったし、興味半分で開けてみようってことになった。
その箱が一体何なのか、お店を出してた人からも聞いたけど、これっぽっちも信じなかった。
「………コトリバコ。」
俺がそう言うと、赤司と真ちゃん、テっちゃん、桃井さん、そして黄瀬の顔色がサッと変わった。
「…本当に存在していたのか。驚きなのだよ。」
「コトリバコってなんだよ?テツも知ってんのか?」
「知ってますよ。小耳に挟んだだけですけど。有名な話ですから。むしろ、青峰君は知らないんですか?」
「俺聞いたこともないんだけどー。」
「俺もタイガも知らないな。海外でも聞いたことはないし。」
青峰と紫原は興味無さそうだもんな。氷室と火神は海外組らしい。
「コトリバコってのは、ホラー系で有名な話だよw戦争が始まる前に作られた綺麗な装飾の箱で、中に子供の指とか内蔵とか入れて憎い奴を呪い殺そー!ってことで作られた箱らしい。」
俺が出来る限りいつものテンションでそう言ったら、火神がすごいスピードで俺から離れた。
「何だよそれ怖すぎだろ!」
てか火神おま、ビビりすぎwwww
「でも、実際結構怖い話だよ。子供を犠牲にしてまで作ったことも怖いし、箱だけで何人もの人を殺せるってことも怖い。」
桃井さんの言葉に、俺も他のみんなも頷いて賛成した。
「……で、まあフリマでたまたま見つけて、面白そうだから開けてみようってことになつたんだよ。」
『これで本当に指とか入ってたら怖いなー!』
『やーめーろーよーwww』
今でもそん時の会話はよく思い出せる。
馬鹿だった。
「これを売ってた人の話もそうだけど、正直、コトリバコが存在してることすらこれっぽっちも信じてなかった。」
怖がらせるために作られたただの妄想なのだと、
そう、思ってた。
「部活が終わって、部室にみんなで集まって開けようって話になったんだ。箱は俺が買って俺が持ってた。んで、カラクリ箱の開け方とかを検索して、
開けた。」
黄瀬が、小さく「え、」ともらした。笑おうしてるんだろうけど、笑えてない。
「そうだよ。俺達はコトリバコを開けたんだ。」
多分、偶然に偶然が重なったんだと思う。
そうじゃなきゃ、あんな短時間で開けられるわけねえ。
「中は古いのかすげー臭くて、黒ずんでて、木の棒みたいなのが十何本か入ってた。俺達はそれを取り出して、やっぱりニセモンじゃんとか言い合ったんだ。」
『それにしてもよくできてたな、箱。』
『それな!wめっちゃ複雑なパーツとかあるしww』
確か、そんなことを言い合ってたんだ。
「でも、瑛(てる)っていう仲間の一人が不意に笑うのを止めて、ポツっと言ったんだ。」
『でもこれ、妙にリアルじゃね?』
って。
『箱の作りもそうだけど、ほら、この木の棒みたいなのもさ。爪も、関節も、しわも、フツーのガキとかと同じくらいだし。本物の指みてーじゃね?』
言われてみればそうだった。
木の棒にしては節から節までの長さが短すぎてたし、表面も、なんか、木っつうより…
皮、みたいな。
なんとなく気味悪くなって、指も箱にしまい戻した。
バラバラにしたパーツも全部元に戻して、最終的にどっかに捨てようって話になった。
誰も何も言わないで、沈黙が少し続いた。
『あの、さ。怖がらせる訳じゃねえんだけどさ。』
瞬だった。
『俺達がこの箱買った時、これ売ってた奴、変に笑ってなかったっけ…。』
それで俺も思い出した。
俺達が箱を買い取ってその店の前でワイワイしてた時、ずっと無表情だったそいつが、確かに笑ってたのを。
「箱買ったのは俺だし、俺が捨てることにした。そんで、部室のドアを開けたら気ぃ失って……ここにいた。」
箱は、いつの間にかなくなってた。
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