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the same
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探すって言っても、さっき言った通りもうほぼ場所は分かってる。
銃の弾数を確認して握る。そして、慎重にエスカレーターを上がる。
瞬は、ちょうど反対側を歩いていた。
「…瞬。」
ごめんな、何回も。
これで終わりにするから。
約束する。
心の中でそうつぶやいて、俺は一気に走り出した。
背後をとってまず一発。
少しよろけたけど、瞬はすぐに振り向いて襲ってきた。
かわす、かわす、かわす。
少し距離をとったり、一旦逃げたり。
少しの隙を見つけては攻撃を続けた。
撃つのは心臓部分。狙って、外さないように。
体力が切れてくるに連れて瞬の爪や拳がかするようになってきたけど、負けじと踏ん張って撃ちまくる。
弾切れ。装填。発射。
繰り返して、繰り返して、何分くらいたったんだろう。
瞬が倒れて、勝負が決まった。
俺も傷だらけで血だらけだけど、俺の勝ちだ。
瞬はやっぱり蒸気を出して元姿に戻っていく。
「あれ、俺…ここ……?」
起き上がる瞬に、俺は笑う。
「大丈夫か?瞬ww」
「え!?カズ!?高尾和成!?」
瞬の近くにしゃがんで、肩を小突く。
「このやろ、部活帰りに寝やがって。」
今回は、瞬に真実は伝えない。
伝えて、嫌な記憶を思い出させる必要もない。
「え、俺寝ちゃったんだっけ?」
「寝ちゃったんだっけ?じゃねーよww爆睡してたっつうのw」
「あー…ごめんw」
「ったくwwww」
そろそろ眠くなってきたのか、せっかく上半身だけでも起きたのにまた寝転がる瞬。
「……瞬、眠いか?」
「ん、ちょっと…寝たりなかったかな?w」
瞬の体から蒸気が少しずつ出てくる。ああ、もう時間切れだ。
「カズ…」
「んー?」
ふいに瞬が口を開いた。コイツのことだ、思い出してはいないけど雰囲気から何かを察したんだろう。
「明日もまた練習だろ?だから、明日も頑張ろうな。」
「…ああ、そうだな。頑張んなきゃまた顧問にどやされるしな。」
「もうすぐ瑛の誕生日だし、そろそろサプライズでも考えなきゃな。」
「……ああ。」
「あと、そろそろ貸したCD返せよwカズもう二ヶ月は借りてるぞw」
「………」
絶対、帰るから。
帰ったら、今言ったこと全部しよう。
約束する。
「瞬、じゃあな…」
「……ん。」
そうして、俺は瞬の最後を見届けた。
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