アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
the same
-
ホールに出ると、デジャヴのようにこちらを向く全員。
でも、こちらを向くその顔は目に見えて真っ青でなにかに焦っていた。
「??どうしたんだよ?」
俺も真ちゃんも全く意味が分からない。
でも、疑問符を浮かべているうちに、一つのことに気づいた。
「青峰はどうしたのだよ?」
そう、真ちゃんの言う通り青峰がいない。ホールを見回してみても、どこにもいない。
まさか、と思って赤司を見る。
少しの間俺の視線を真っ向から受け止めた赤司は、一度まばたきをしてから口を開いた。
「…見ての通りだ。青峰が外に出た。」
なんでだ。
「赤司が言ったんじゃないよな。」
「当たり前だろう。単独行動などさせるわけがない。」
てことは、独断?
「武器は?」
「持っていない。」
「は!?」
俺も真ちゃんも絶句だった。
「武器も持たずに外へ出ただと!?なぜ止めなかったのだよ!?そんなのっ…」
〝死に行くようなものじゃないか〟
言ったら本当になる気がして言えなくても、全員が分かる言葉だった。
「止める間もなかったんです。突然立ち上がって、なにか呟きながら走っていってしまったんです。」
黒子がそう言って、はっとした。
青峰が出ていったのは赤司のせいじゃない。赤司を責めることじゃない。
「なんて言ってたかわかる奴いねぇの?」
そう言っても誰も手を挙げない。よほど小さい声だったのか。
腹をくくって助けに行くしかない。聞いた状態だと、錯乱しててもおかしくねえし。
そう思って銃を手に取ろうとした瞬間、おずおずとした声が聞こえた。
「……違うって、言ってたんだと思う。」
桃井さんだった。
繰り返す前のこともあって、申し訳ない気持ちが少し膨らんだ。でもそれは一瞬のことで、すぐに頭が切り替わる。
「違う?」
「うん、高尾くんが外に行ったあたりから、ずっとなにかブツブツ言ってたの。大ちゃんらしくないから声かけようと思ったんだけど、全然聞こえないみたいにずっと、違う、俺はって言ってた。」
そういえば。
俺が話し終えた時、ガングロがさらに黒くなってたのを思い出す。
見間違いじゃなかったのか。
原因は俺の話…か。
「んじゃあ、ちょっくら探しに行ってくるわw」
伸ばしかけていた手でそのまま銃を掴み、使った分弾を装弾した。
そういや、青峰武器持ってかなかったんだっけ?
ふと思い出して青峰のバッドも掴んだ。
錯乱してたっぽい青峰に戦力は望めないけど、あいつ図太そうだし平気だろ。
「……よしっ」
自分の中で密かに気合いを入れて、ドアへと向かった。
が、テっちゃんの声により俺の足は止められた。
「僕も、行きます。」
俺だけじゃなく、全員がテっちゃんの方を向いた。
「バスケも、今までずっと青峰くんに助けられてきたんです。今度は僕が助けます。」
テっちゃんの中では、強い決意があるんだと思う。
でも、理想と現実の差はいつも酷なくらい大きい。
「テっちゃ……」
あ、俺こっちではその呼び方でいいかとか聞いてないんだっけ??
「黒子には悪いけど、連れてけねぇ。もし青峰が取り乱してるとしたら、音とかでかなり化け物が集まってる。黒子は力不足だ。俺ならお前らよりは慣れてるし、生き残れる確率も高いだろ。」
言ってないけど、俺が死んでも繰り返すし。
でも、黒子が死んでも繰り返す確証はない。実際、瞬もみんな俺の目の前で死んでったんだ。
「出来なくてもやるとか、そういう綺麗事なしに聞くぜ黒子。お前は自分の力で生き残れるっていう自信があるか?」
「………」
黒子が自分を過大評価しないのは、もう知ってる。
「だから俺一人で行くわ。」
にかっと笑ってみせてから、今度はちゃんとドアを開けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 57