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三枝侑史 2
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書類の内容を頭に叩き込みながら、僕は先ほどの三枝を思い出す。
6年という時の流れのおかげか、それほど不自然なやり取りではなかったような気がする。
三枝も昔と変わらなかったように感じたし。
僕が6年もの間、ひたする避け続けていることを、指摘されたら、どう言い訳しようか、なんて頭の隅で考えていたけど。
大して気にも留めていない様子だったな…。
いや、気にされても面倒なだけか。
髪型は、変わってたな。
昔も今も、寝癖かどうかもわからないあやふやな自然体ヘアー。
でも、確実に今の流行に合わせてきてる。
あーいうタッパのあるモデル体型のやつは何でも似合うからいいよなぁ。
しかし、飲みに行く…か。
一体何を話せばいいのやら。
昔の話?
仕事の話?
何か他に共通の話題はあっただろうか。
いや、話さなくてもいいのか。
向こうが教えてくれると言ってるなら、それを聞いていれば、案外時間はすぐに過ぎてくれるかもしれない。
聞き役に徹していればいいだろう。
6年前。
僕達は何を喋っていたんだろう。
昔の他愛ない会話なんて殆ど覚えていない。
けれど、三枝との会話に困ったということは無かった。
勿論、僕も三枝も誰とでもそれなりに喋れる方だとは思うけど、三枝とは大学時代から、かなり会話をしていたように思える。
講義を隣で受けていた記憶も、学内で一緒に昼食を取った覚えもある。
昔を思い起こせば、僕と三枝はそもそも仲が良い方だったんだ、という答えに行き着く。
そう思えば、飲みに行っても間は持つような気がしてきた。
でも、学生時代に三枝と飲みに行った記憶はないな…。
学生時代はゼミやサークル単位での飲み会や、数合わせの合コン。
積極的とは言わなくても、そこそこ参加していた。
だが、そこに三枝が居た記憶がない。
もっとも、僕はあんまり他人に執着しないから、気付いていないだけ、という可能性の方が大きいか。
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