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お酒の席 1
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三枝は言った通り、目的の店までの道のりにある飲食店を丁寧に説明してくれる。
あの店は鶏肉がうまいとか、野菜とワインの組み合わせがうまいのはあっちの店だとか。
焼酎ならあの店が豊富に揃っていて、あそこの店は旨いけど店主の対応が微妙だから気をつけろとか。
「本当に詳しいんだね」
「まぁなー」
「同僚達と行くの?それとも女性?」
三枝は男からの信頼の厚かったし、女性にもモテていた記憶がある。
しかし、答えは意外だった。
「基本的には一人だな。誘われれば地元の友達と飲むことはあるけど、自分からあんまり誘ったりしねぇんだ」
「そうなんだ。まぁ一人飲みが好きなタイプもいるよね」
「別に同僚と行くのが嫌ってわけじゃねぇけど、同僚に気を使ったり、気を使われたりとか。そういうの苦手なんだ。仕事終わって、それからまた仕事の話はなんか性に合わなくて…そういうのは歓送迎会みたいな逃れられない飲み会だけで十分だ」
「そうなの?でも僕も今は君の同僚だし、きっと今からする会話は仕事の話になると思うけどいいの?」
僕の言葉に、一歩先を歩いていた三枝は足を止めて振り返る。
ん?僕今なんかまずいこと言ったか?
「三枝?」
「悪い、そういうつもりで言ったわけじゃない」
「何が?」
「その、お前と今から飲みに行くっていう時に、言うべき事じゃなかったと・・・」
「あぁ。大丈夫、気にしてないよ」
心底気まずそうな表情を見せる三枝は意外だった。
こんなに露骨に狼狽えた顔はなかなか貴重なんだろうな…。
三枝を狙っている女性社員が見たら喜びそうだ。
いや。案外、ガッカリするのだろうか。
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