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共同作業 2
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「本当に見事なまでの段ボールだな」
「だからそう言ったじゃないか」
部屋を見て呆れ返った三枝。
それもそのはず、玄関口から見える範囲でも、数箱の段ボールがある。
部屋の中に足を踏み入れれば、その数は更にだ。
パッと見とても一人暮らしの男の荷物の量では無い。
「これでも、かなり色々処分したんだけど、辞令が出てから日数が無くて、最後は残ってるものを、とりあえず段ボールに詰め込んじゃったんだよね…」
そのせいで、段ボール箱の数は増えたものの、実際の所、中には殆ど荷物が入っていない箱もある。
引越し屋に渡された段ボールに本当に適当に突っ込んだだけなのだ。
僕はリビング中央にある段ボールを適当に端に寄せて、作業スペースを作る。
「お前、そんな雑な事するようには見えないのにな?」
「人は見かけによらないって話?」
「いや、仕事では凄く細かい所まで気が回るやつって話だ。褒めてるつもりだぞ?」
「はは、ありがとう?でいいの?悪いけど、ちょっと着替えていい?」
僕は昨日のスーツを身にまとったままだった。
さすがにこれからの作業をそのままこの格好でする気にはなれず、部屋着に着替えることにした。
「手伝ってやろうか?」
「何言ってんだよ、三枝は…はい、こっち」
僕は三枝の手に一本のカッターナイフを置く。
「中の荷物はこっちで分類するから、とりあえず全部あけて貰ってもいいかな?」
「了解、任せとけ」
三枝は、にっと口角をあげると、慣れた手つきで段ボールを切り開いていく。
僕はその姿を横目に部屋着を取り出して着替えを始めた。
最初こそ、目につく場所で着替えるのは、警戒心が足りなかったかと思ったが、三枝は作業を真面目にこなし、こちらに視線を向けるそぶりもなかった。
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