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共同作業 3
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部屋着に着替え終わった僕は、三枝の開けた段ボールの中身を次々と分類していく。
中には本当に物が少ししか入っていないものもあって、三枝から「勿体無い」と叱りの言葉が飛んだ。
「仕方ないだろう、引き継ぎを適当にする訳にはいかないから、どうしたってこっちに皺寄せが来るんだよ」
反論しつつも、どう見てもゴミにしかならないものが入っている事には流石の僕も反省するしかなかった。
いきなり大量のゴミを捨てる必要がありそうだ。
僕はため息を付きながら、まずは必要なものを部屋の収納に仕舞い、いらないものはその辺の空いた段ボールに放り込む。
『食器』と書かれた段ボールを前に僕は思わずため息をついてしまう。
選別せずに放り込んだ食器類、中身は一人暮らしではいらないような量だ。
マグカップが10個も…。
どれだけ洗い物をサボってもこんなに必要ないよなぁ。
これとは別にガラスコップだってあるのに。
皿だって、四人家族並の量が揃ってる。
色々貰い物で溜まったんだよなぁ。
結婚式やら、何かの内祝いやら。
営業は人脈が命とばかりに、積極的に振る舞うほどに増えていったのだ。
陶器やガラス類は処分も面倒でそのままにしてしまったのだ。
まぁ、おいおい処分するしかない。
その前にまた増えてしまいそうな予感しかしないけど。
僕が再度ため息をつくと三枝から「大丈夫か?」と心配の声が飛んでくる。
「あぁ、大丈夫。三枝のおかげで作業も思ったより早く進んでるから、助かってる。ただ自分のズボラさに驚いてるだけ」
笑顔を作って応じると、三枝も僕の真似をするかのように大きく一息つく。
「俺の方はあらかた段ボール開け終わったから、ちょっとスーパー行ってくるわ」
「スーパー?」
「その段ボールの中のやつ、捨てるんだろ?ゴミ袋揃ってる様子もないから買ってくる」
「ありがとう。あ、お金…」
僕は慌てて財布から一万円札を取り出して渡す。
三枝は「別にいいのに」と一瞬受け取るのを渋るが、無理やり握らせる。
「じゃあ行ってくる」
三枝はさっさと支度を済ませ出ていった。
三枝の質量が無くなっただけで、この部屋が随分広く感じた。
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