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契約_2
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立ち尽くしたままの僕を背後から長い腕を回して抱きしめてきた優也さんは僕の耳をぺろりとなめた。
「ひゃっ」
驚いた僕は足の力がかくんっと抜けて慌てて近くのテーブルに手をつく。
背後から顎をつままれて唇を重ねられる。
舌でつつくようにされておずおずと口を開くとぬるりとした舌が僕の口の中を舐め回す。
「んふぅっ…」
電流が流れるような刺激。
口の中に、こんな場所があるのをこの人とのキスで初めて知った。
頭の芯から蕩けるようなそんな感覚。
体を支えている手の力が抜けてきて、しゃがみこんでしまいそうな僕を抱き上げられてソファーに優しく落とされる。
体重をかけられて、ハッとした。
「か、会社ですよっ」
優也さんを押し返そうとして胸元に添えた手を取られて、指先に唇が触れる。
そこからまた熱が広がってくるようで、つい目で追ってしまって
「そんな顔で言われても効果がないなぁ。」
そう笑われる
そんな顔って言われても、意識してこんな顔になったわけじゃない…
戸惑った一瞬の間にまた唇を奪われる。
「さっきから俺じゃないヤツばっかり見てるな」
不敵に笑いながらそう言って
するりと下唇の防御を抜けて口内に侵入してきた舌に僕の舌が捕らえられる。
指先と勘違いするくらい器用にそれは動いて、きゅっと絞められたかと思えばゆるゆると撫でられて逃げる事もできないまま、体に流される電流を受け入れる。
「…っはぁっ…ん…」
口の端から溢れる唾液まで舐めとられて完全に力が抜けてしまう。
それを楽しそうに見下ろした優也さんが僕の唇をなぞりながら決定事項を伝えるように言う。
「愁、俺と一緒にこい。心配しなくても俺が全部から守ってやるから。」
なんて潔い言葉。
あまりに自信たっぷりに言われるものだからつい頷きそうになってしまった自分に慌てた。
「…。急、すぎます。」
「じゃあ3ヶ月以内に決めろ。俺とくるか、フタミを潰すか、だ。」
…
「それって脅しですよ。僕にそこまでの価値はありません。」
「自分の価値を決めるのは自分じゃない。対価を払う他人だ。少なくとも俺はそれを支払う事ができるし、子会社の行く末より愁の方が大事だ。」
なんて独裁的な事を言う人なんだろう。
そうまでして僕なんかを手に入れようだなんて、どうかしちゃっているとしか思えない。
それなのに、嬉しくて飛び跳ねたいような気分の僕がいて。どんな感情を顔にだせばいいのかわからないまま優也さんを見つめる。
_昨日会ったあの美しい男を忘れた訳じゃないだろう。お前なんてただの代役だ_
影が囁く。
そう。僕なんて遊び相手の一人だろう。
それなのに欲しいなんて分不相応な事を願ってしまった。
優也さんの真剣な瞳。
仕事中の顔。
こっち側までを知り尽くして、初めて手に入れたと言えるのかもしれない。
_騙されるな_
「この会社にきたら、優也さんの隣にいられますか?」
_そんな事聞いてどうする_
馬鹿な事を聞いているとわかっている。
それでも、勇気をだして聞いてみたら眉をよせた優也さんが抱きしめてきた。
肩が外れそうに強い力をこめて。
「そうしたいから呼んだんだ。俺の所に来るだろう?」
_どうせ捨てられるだけだ。わかってるだろ?_
この声。この体。この体温。
どんなに影が否定してきても、僕が拒める要素なんて1つもない。
この人になら、騙されたって構わない。
抱きしめられた体温に溶かされていて、拒否する力も出てこない。
もう代役でもいいや。
側にいられればそれでいいんだから。
慈しむように髪を撫でられて、会社にいるのを忘れるくらい優しい顔をした優也さんは独り言みたいに語りはじめた。
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