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苛立ち_優也3
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眠りに落ちた愁を抱えて、血が通っていないかのような青白い顔を見つめる。
熱めの温度の湯を張ってタオルケットごと風呂場に運ぶ。
こいつ、熱があるんだよなぁ。
風呂って入っていいもんなのか?
いや、暖めてすぐ布団に運べば問題ないだろう。
勝手にそう結論づけて
眠ったままの愁をバスタブにそっと入れる。
胸に血の塊がくっついていて、それが噛まれてできた傷から出ていた物だと分かると、心配よりも怒りがこみ上げてきた。
未遂だと思っているが、本当に最後までされなかったんだろうか。
背中を向けさせて後ろをさぐる。
「うっ、ん」
起こしたか?
かわいそうな気もしたが、どうしても確認しておきたくて指をのばす。
結局、一本の指も入らないくらいそこは固く閉ざされていて大丈夫だったんだと思う事にした。
もう一度そっと肩まで浸からせると顔に赤みが戻ってきていた。
長い睫毛、真っ白い肌、小さな赤い唇、華奢な体。
男の体とは思えない線の細さだが、下半身にはちゃんと同じ物がついている。
その先端にも血が滲んでいるのを見て、首を締められたような気がした。
「ごめん、なさい。生きていて、ごめん…」
…っ
どんな夢見てるんだよ。
生きている事を否定するような悪夢なら体調悪くても起きてくれた方がマシだ。
その口から、そんな言葉を吐かないでくれ。
頼むから。
濡れるのも構わず
抱き寄せてその唇を閉じさせるように自分の唇で塞ぐ。
触れた舌がぴくりと反応をして、うっすらと目が開いた。
「ん…、あ、れ。あ、優也さん」
ふにゃあっと笑いかけられて心臓が揺れる。寝ぼけているのか、こんな笑い方をする愁を初めて見た。
パシャンっと湯が跳ねて、自分が全裸でいる事に気付くと暴れだした。
「やっ、ちょっと、優也さん、何してっ」
こんな華奢な体が暴れた所で俺の腕から脱出できるはずもない。
そう、ヤツも思っただろうな。
抵抗する愁を押さえこんで自分の思い通りにしようとするのはヤツと同じなんじゃないか?
そう考えたら胸が痛んで、咄嗟に手を離していた。
急に自由になった愁は真っ赤な顔をして体育座りになり、体を引き寄せた。
「…ずるい」
聞き取れないくらい小さな声で呟いている。
「なにが。」
聞き返されると思っていなかったのか、愁がぶくぶくと顔を沈めて誤魔化すように言う。
「僕だけ裸なんて」
…
それは、あれか?一緒に入りたい、的なやつか?
だとしたら、なんて不器用なおねだりだ。
「傷を見るだけだ」
にやけた顔を隠すように厳しい声を出してみると、ビクリと肩が揺れて、ますます背中を小さく丸めて完全に顔を隠した。
「ごめんなさい。僕がもう少し気をつけていたら」
湿った声。
マズイ。泣かせた?
「僕はもう、用なし、なんですよね」
だから、お前の思考回路はどうなっているんだー。
一瞬で脳味噌が沸騰したような気がした。
両腕でバスタブから抱え上げてバスタオルでくるむ。ガシガシと乱暴に体を拭って何か言おうとした愁の口を唇で塞ぐ。
乱暴に口内を弄って力が抜けたようにぐったりしてきた所をすかさず抱きかかえて寝室に運ぶ。
ベットに横たえると怯えた顔で俺を見ている。
そんな顔するなよ。こっちが泣きたくなる。
抱きしめて体温が随分高い事が確認できた。
でももう、無理。
これ以上我慢したら爆発する。
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