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暗い部屋_4
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前のめりに倒されて背中を蹴られながらも息を吸おうともがく。
一時的に閉じられた器官が酸素を取り込もうとしているのがわかる。
ゼイゼイと喉が嫌な音をたてて息を吸い込む。
昔からこの瞬間が嫌いだった。
どんな状況でも勝手に生きようとする人間の本能に嫌気がさす。
それさえ機能しなければこんな苦しい思いをしなくてすむのに。
苦しいのは生きていこうとするから。
こんなに苦しいのに生きる意味は何なのか。
僕には全くわからない。
考えてみれば、逃げてどこへ行くつもりだった?
仕事もない、友人もいない、帰る場所はこの部屋しかなかった。
でも今、この部屋には夏彦がいる。
もうここには戻ってこられない。
ぼんやり考える僕の背中にひんやりとした何かが垂らされる。
首を持ち上げて振返ると、いつの間に手にしたのかシェービングジェルを持った夏彦が見えた。
ぼたぼたと容器から大量に落としながら僕の腰を高く上げさせる。
「…やめてっいやだっ、やめ、ひいっ」
バチン、バチンと背後に痛みが走った。
恐る恐る肩越しに見ると、ベルトを構えた夏彦。
「僕に逆らうなんてオマエには無理だよ。」
昔の記憶と重なる恐ろしい顔。
それは痛みと直結する記憶。
「しばらく会わない間にずいぶん我が儘になっちゃったなぁ。これはイチから躾のやり直しだな。」
繰り返し振り降ろされるベルトと肉を叩く音だけが響く。
唇を噛み締めて嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。
”噛むな”
そう言われて優しく舐めまわされたのは、ほんの少し前の事なのに。
今はこんな最低な格好で最低な事をされようとしている。
悲しいのか悔しいのかわからない涙がフローリングに飲み込まれて行く。
「触るな、いれるな、だぁ?僕に意見するなんてどうかしちゃったとしか思えないけど。まぁ、久しぶりの再会だし今日は許してあげてもいいよ。」
意外な言葉に視線を向けると、不自然に口角を吊り上げて笑っている恐ろしい顔にでくわす。
何かよからぬ事を思いついたのだろう。
ベルトで叩かれ続けて真っ赤になった尻臀をくすぐるように撫でる。
「でも本当は僕とヤリたいんだろ。はずかしがる必要ないんだよ」
痛みでじんじんするそこは優しい刺激を与えられると予想もしていなくて、思わず体がびくんっと跳ねる。反応なんてしたくないのに。
それを見て気をよくしたのか、そのまま手を伸ばしてきてジェルまみれの袋をやわやわとさすられ、萎えきった僕の中心にもジェルを広げる。
握りつぶされるんじゃないかと身構えたけど、そのつもりはないみたいだった。
根元を強く刺激して、先端に掌で覆うように往復させる。
僕のそれを立ち上げる、夏彦のそのやり方は昔から変わらない。
立たせるのはイカせるためじゃない。もっと僕を追いつめるためだ。
刺激に耐えられなくて出してしまえば、それは汚くて悪い事だと叱咤される。
そして、イカせてやったんだから体で感謝しろと感覚がなくなるまで犯される。
イヤだ、イヤだ。触られている自分自身に嫌悪感を感じながら…
僕の中心が立上がってきた事に気付いていた。
どうして…
気持ちよくなんてないのに。
「体の方が正直だったなぁ。」
笑いながら後孔に押し当てられて、訳のわからない言葉を叫んでしまった。
やめて。でもいやだ。でもなく”たすけて”と。
余程気に入らなかったんだろう
「勘違いも甚だしいな。オマエを助けられるのは僕だけだ。周りに言いふらしてやろうか。」
オマエの過去を…
その一言に僕が抵抗できない事をわかっていて、ここまで使わなかったんだ。
両腕を肩からだらりと落として逃げる気を完全に失ってしまう。
ズブリと一気に指を挿入され。同時に前を強く擦られる。
「ぐっ、ううわぁあー」
強引に射精させようとしているのか、僕の腰を掴む手を緩めてはもらえない。
腰をあげられた状態でされているから、そこがどうなってるのかなんて丸見えだろう。
「うっく、やめてよっ、やめてっ、やめてーっ。助け、ゆ、さん…」
しゃくりあげながら、優也さんに勝手に助けを求めた。優しい笑顔、高い体温、触れる指の柔らかさ。
それらを思い出した瞬間に水のような液体が飛び出した。
浅ましい体。相手が誰だろうと快楽さえひろってこられれば誰でもいいのか。
…
何故こうも違うのか。
心から、気持ちからしめだそうとすればするほど優也さんとの行為が浮かんでくる。
ピーンポーン
間が抜けたインターフォンの音がして、ハっとする。
まさか、まさか…
「た、たすけっ」
言おうとした僕の口に何か布が入れられる。
「チッ、誰だよ。声出すなよ。」
僕に念を押して、首に巻かれたままだったネクタイで後ろ手に縛られるている途中で
カチリ
小さく音がして、玄関の扉が開く。
「なっ、あんた誰だよ。なんで部屋に入ってきてる」
入ってきた人物は部屋をぐるりと見回して僕に目を止めて、冷静な声を発する。
「誰だ。」
それは、僕に問われた質問。
そして、僕が助けを求めた唯一の人。
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