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ヤキモチ_優也1
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ごめんなさい
愁がそう呟くたびに胸の奥がズキンと痛む。
何を思って謝っているのかわからないからだ。
愁が悪かった事なんて何かあるか?
無言でいなくなった事くらいで…
奏介に甘えた仕草を見せたくらいで…
らしくない。
全く本当に俺らしくない。
こんなに執着するのはおかしい。
それでも受け入れられた。そう思った。
僕の気持ちを全部あげます。
そう言われて素直に嬉しかった。
その上、命まで差し出すという…
生殺与奪の権利まで与えておいて、心変わりするなんて思ってない。
それなのにあんなに苛立って、その上なだめられて、本当に大人げない。
でも愁の仕草全てに、人を惹き付ける何かが発せられているのは間違いない。
あの堅物の奏介ですら、既にデレデレだ。
このままじゃ茉莉花に俺が怒られかねない。
吸い込まれるように眠っている愁を腕の中に抱いたまま、その寝顔を見つめる。
その頬が少し腫れているのを見て心がざわつき、首についた痕が目に入って頭に血が上る。
首を絞められて。
平然と愁はそう言ったが、そんな事が日常的に行われていたんだろうか。
首に手を掛けさせられた時、望むならそうしてやろうと本気で思った。
自分に飽きたら。
捨てるんじゃなくて、殺して欲しい。
本気でそう言ったのだ。
言葉がでなかった。
そこまで盲目的についてこようとしている相手を前にして、慰めるより欲望が先に立つ自分にも腹を立てて。
傷の確認といいつつ、体中を撫でまわした。
押し倒さなかったのは理性が働いたからじゃない。
誰にも聞かせたくなかったからだ。
啜り泣くように喘ぐあの声を。
鎖で繋いでおきたいと言ったのは冗談じゃない。
そうできるなら、今すぐにだってそうしたいくらいだ。
隠して閉じ込めて、俺だけを頼ればいい。
そんな邪な考えを知ってか知らずか、奏介に頬を染め、管理人に愛想を振りまく。
計算でできる行動じゃない。自覚がないんだろう。
文句も言えない。
向けてくる視線は痛いぐらい鋭くて。そのくせ笑顔は柔らかくふわふわしていて、ためらってばかりの黒目がちな瞳からは大粒の涙を零す。
抱き締めたら折れそうな体の中で何を感じとっているのか、愁の不安ばかりをかき立てているようで落ち着かない。
そんな顔させたいんじゃないのに。
俺じゃない誰かの所に行きたくなる時がくるのだろうか。
もしそうなったら俺はこの細い首を本当に折ってしまうかもしれない。
そんな日がこなければいい。そう願った。
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