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新しい_3
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「おはよう愁くん。お腹すいた頃かと思ってご飯買ってきたよ。あ、何か作る所?ゆうくんの部屋ろくな食料置いてなかったでしょ」
うう、眩しいっ。
この爽やかさは、まさに朝そのもの。
奏介さんに笑顔を向けられると、つられて僕も笑顔になる。
「おはようございます。ジャガイモとハム炒めて食べようかと思ってました。」
「それじゃあ丁度いいかな。買ってきたのはおにぎりとお味噌汁だから。何がいい?好みがわからなかったから、全種類買ってきたんだよ。残りはゆうくんが食べるから気にしないで。」
ズラリとテーブルに並べられるおにぎりを見て、ギョッとした。
梅、鮭、明太子、昆布、ツナの定番はもちろん、焼き肉、チーズ、温泉卵、チキンライス、きな粉とかの変わり種まで揃ってる。
「買い込みすぎだろう。」
「知りたいでしょう?愁くんの好み。」
手招きされておにぎりで埋め尽くされた机まで近付く。遠足だってこんなに作らない。
「さぁ、どれがいい?」
促されて、チーズを手にとる。
「チーズ好き?俺も。ゆうくんは、ジャンバラヤだよね?ね?」
「は?ジャン、バラヤ?」
変わった色のおにぎりを渡されている優也さんを見て笑ってしまう。
本当に仲がいいんだな。
炒めて塩胡椒しただけのジャガイモを並べて、3人で仲良く朝食には遅いご飯を食べた。
チーズ、カレー、野沢菜、と食べ進んで流石に満腹になってきた。
「じゃあ今日は区役所に行くんだね。愁くんを連れて行きたいお店が何店舗かあるから、週末に時間くれるかな。」
「はい。もちろんです。」
こんな爽やかな人とお出掛け。
なんだかワクワクする。
「俺も行く。」
「渋谷だよ?ゆうくん人ごみ嫌いでしょ。」
ジャガイモを、黙々と食べていた優也さんが顔を上げる。
「お前と2人で出掛けさせたら、茉里花に何て言われるか…」
「じゃあ4人でどうですか?」
僕も提案してみる。
今後、関わっていく人だ。少しでも仲良くしておきたい。
「そうしますか。」
そう言ったものの、奏介さんは少し困ったようにニッコリ微笑んだ。
「残念だったな。愁と2人で行きたかったんだろ。そうはさせない。さて、そろそろ出掛けるか。」
「僕、奏介さんと2人で本屋さんに行きたいです。いつでもいいので付き合ってくれませんか?」
優也さんの動きが止まる。
「あ、少しでも勉強しておきたくて。仕事に役立つような本を読んでおきたいんです。できれば難しくない物で。もしかして英語とか必要ですか?」
「…ゆうくんは、愛されているんだね。」
突然、真面目な顔をして奏介さんが呟く。
その言葉に、顔が赤くなった。
立ち上がった優也さんが僕の頭を、ポンポンとなでて微笑む。
「区役所の後で行ってこい。愁の部屋は本だらけだったもんな。」
本から与えられる知識は、どれだけあっても邪魔にはならない。
足を引っ張りたくない。
優也さんにとって役立つモノでありたい。
今はまだ、高望みにすぎないけど。
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